日本性機能学会は今月 (2024年7月)､ 臨床研究促進委員会 (委員長:順天堂大学附属浦安病院泌尿器科教授･辻村晃氏) が25年ぶりに日本の成人男性を対象に実施した性機能の実態に関する全国調査の結果について､ The World Journal of MEN’s Healthに論文が承認されたと発表した｡ 

調査方法

20~79歳の日本人男性3万7,485人 (回収サンプル6,228人) *を対象に､ 2023年5月29日～6月24日に ｢性機能障害の全国実態調査｣ を実施した｡ 調査は44項目の質問への回答形式で､ 調査会社によるインターネット調査を通して行われた｡

※各年代において総務省統計局国勢調査の人口比率に基づき､ 年代､ 地域性を考慮し実施

主な調査結果

約3人に1人が勃起障害

調査の結果､ 勃起硬度スコア (EHS) による勃起障害 (ED) の有病率は30.9%で､ 国勢調査に基づく日本人男性の人口に当てはめると約1,400万人の男性がEDであることが示された｡ 1998年の調査結果 (1,130万人) に比べて約270万人 (123.9%) 増加しており､ 約3人に1人がEDの症状を有していることが示された｡

（日本性機能学会プレスリリースより）

また､ EHS≦2をEDと定義し､ 年齢との関係を示唆するデータでは､ 30~40代よりも20代の有病率が高いことが明らかにされた｡ 特に20~24歳の有病率は26.6％で､ 50~54歳 (27.8％) とほぼ同等の結果となった｡

セックス頻度≦1年に1回程度が45.7%

｢性交の頻度はどれくらいですか｣ という質問に対しては､ 29.6%が ｢毎日~1ヵ月に1回程度｣ と回答した｡ ｢1か月に1回未満~1年に1回未満｣ および ｢性交未経験｣ をあわせると70.4%となり､ 全年代で性交回数が少ないことが示唆された｡ なお､ 45.7%は ｢1年に1回程度以下｣ と回答した｡ また､ ｢性交未経験｣ の割合は20-24歳で43.9%だった｡

（日本性機能学会プレスリリースより）

一方､ 自慰行為の頻度は ｢毎日~1ヵ月に1回程度｣ が大半を占めることから､ 性欲はあるものの性行為は行っていない実態が推察された｡

（日本性機能学会プレスリリースより）

約910万人が早漏で悩む

｢早漏で悩んでいますか｣ という質問に対し ｢はい｣ と回答した割合は23.4％だった｡ これを日本人男性の人口にあてはめた場合､ 早漏で悩んでいる男性は約910万人となる｡ 年代別では20~39歳が30％前後と高かった｡

（日本性機能学会プレスリリースより）

早漏は射精障害に分類される疾患の1つとされており､ 国際性機能学会 (ISSM) ガイドラインにおける早漏の定義は ｢挿入前､ 挿入後1分以内に射精してしまう｣ とされている｡ ｢膣内挿入してから射精までの時間はどれくらいですか｣ という質問に対しては､ ｢挿入前に射精してしまう｣ ｢1分未満｣ の合計が5.1%だった｡

（日本性機能学会プレスリリースより）

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解説 : 委員長 辻村晃氏