海外ジャーナルクラブ
9日前
近畿大学内科学教室腫瘍内科部門の川上尚人氏らの研究グループは、 高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) の進行胃・食道胃接合部癌 (AGC) の1次治療として、 抗PD-1抗体ニボルマブ+低用量抗CTLA-4抗体イピリムマブ併用療法の有効性を単群第II相試験NO LIMIT (WJOG13320G) で検討した。 その結果、 12ヵ月時点の全生存率は79.5%だった。また有害事象により治療を中止した患者でも、 多くの症例で治療中止後も効果の持続が確認された。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
「promising treatment (有望な治療)」 という表現が繰り返し用いられていることから、 NIVO+低用量IPI併用療法は、 MSI-H AGCに対する有望な治療選択肢として今後も注目されることが期待されます。
高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) の進行胃・食道胃接合部癌 (AGC) は、 AGC全体の5-6%を占め、 免疫療法に対する反応性が高いことが示されている。
そこで、 MSI-H AGCの1次治療に用いる抗PD-1抗体ニボルマブ+低用量抗CTLA-4抗体イピリムマブ併用療法 (NIVO+LD-IPI) の有効性を単群第Ⅱ相試験NO LIMIT (WJOG13320G) で評価した。
MSI-H AGC患者29例にNIVO240mgを2週に1回+IPI1mg/kgを6週に1回投与した。
主要評価項目は、 盲検下の独立中央判定によって評価された全奏効率 (ORR) であった。
副次評価項目は、 病勢コントロール率 (DCR)、 無増悪生存期間 (PFS)、 全生存期間 (OS)、 安全性、 およびバイオマーカー解析であった。
主要評価項目であるORRは62.1% (95%CI 42-79.3%) であり、 このうち完全奏効 (CR) 率は10.3%であった。
副次評価項目であるDCRは79.3% (95%CI 60.3-92.0%) であった。
PFS中央値は13.8ヵ月 (95%CI 13.7ヵ月-NR)、 OS中央値は未到達 (95%CI 13.7ヵ月-NR)、 12ヵ月全生存率は79.5%であった。
Gradeを問わない治療関連有害事象 (TRAE) は93.1%に発現し、 うちGrade 3以上は37.9%であった。
データカットオフ時点 (追跡期間中央値9.0ヵ月) で21例が治療中止に至り、 12例 (41.4%) はTRAEが原因であった。 このうち病勢進行の1例を除いた11例では、 治療中止後も長期の抗腫瘍効果が認められた (奏効期間の範囲0.9-15.6ヵ月以上)。
著者らは 「NIVO+LD-IPI併用療法は、 MSI-H AGCの1次治療として強力かつ持続的な抗腫瘍効果を示した。 TRAEにより治療を中止せざるを得ない患者も認められたが、 その後も多くの患者で治療効果が持続していた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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