膵癌への新たな医療機器TTフィールド併用でOS改善 : 第Ⅲ相PANOVA-3
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HOKUTO編集部

5ヶ月前

膵癌への新たな医療機器TTフィールド併用でOS改善 : 第Ⅲ相PANOVA-3

膵癌への新たな医療機器TTフィールド併用でOS改善 : 第Ⅲ相PANOVA-3
切除不能な局所進行膵腺癌に対する腫瘍治療電場療法 (TTフィールド、 製品名オプチューン) について、 1次治療におけるゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルとの併用療法を検討した第Ⅲ相試験PANOVA-3の結果から、 主要評価項目である全生存期間 (OS) の有意な改善が示された。 開発元のノボキュア社が2024年12月5日に発表した。 同結果の詳細は、 今後の医学学会で発表される予定だという。

TTフィールドについて

癌細胞を選択的に死滅させ、 既存の治療法と併用が可能

TTフィールドは、 特定の周波数と強度の交流電場を生成する医療機器で、 癌細胞を選択的に標的化して死滅させる物理的な力を発揮する電場とされる。 多面的な機序を持つため、 承認された適応症の癌治療法に追加することが可能であり、 化学療法、 放射線療法、 免疫チェックポイント阻害薬、 標的療法と併用することで、 あらゆる種類の固形癌での効果を高めることが前臨床モデルで実証されている。

日本では、 2017年12月に初発膠芽腫の成人患者への保険適用が承認されている。 また2024年2月、 プラチナ製剤による治療中または治療後に進行した転移性非小細胞肺癌 (NSCLC) に対しても承認申請が行われている。

PANOVA-3試験の概要と結果

今回報告されたPANOVA-3の概要と結果は以下のとおり。

化学療法へのTTフィールドの併用効果を検証

デザイン : 第Ⅲ相無作為化非盲検対照試験

切除不能な局所進行膵腺癌患者571例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • ゲムシタビン+nab-パクリタキセル+TTフィールド療法群 (TTフィールド併用群)
  • ゲムシタビン+nab-パクリタキセル群 (対照群)

主要評価項目はOS

主要評価項目はOSであった。

副次的評価項目は、 無増悪生存期間(PFS)、 局所PFS、 客観的奏効率、 1年生存率、 生活の質 (QOL)、 無痛生存期間、 無穿刺生存期間、 切除可能率、 および毒性であった。

TTフィールド併用でOS中央値は有意な2ヵ月の改善

最低追跡期間は18ヵ月であった。

ITT集団では、 TTフィールド併用群のOS中央値は16.20ヵ月であり、 対照群の14.16ヵ月と比べて2.0ヵ月の有意な改善を示した(HR 0.819、 P=0.039)。

同社によると、TTフィールド併用群におけるOS率の改善は時間の経過とともに増加し、 12ヵ月および24ヵ月時点でそれぞれ13%、 33%の改善が認められた。

また、 TTフィールド群は良好な忍容性を示し、 安全性プロファイルは過去の臨床試験と一致した。

その他の開発状況について

PANOVA-4試験について

なお現在、 転移性膵癌を対象にアテゾリズマブ、 ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルと併用したTTフィールドの安全性と有効性を評価する第Ⅱ相試験PANOVA-4が進行中であり、 76例の登録が予定されている。 主要評価項目は疾患制御率である。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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