海外ジャーナルクラブ
2年前
Millerらは, SOD1の遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症 (SOD1 ALS) 患者を対象に, トフェルセンの有効性を検討する第Ⅲ相試験を実施. その結果, トフェルセンは脳脊髄液 (CSF) 中のSOD1および血漿中のニューロフィラメント軽鎖の濃度を減少させたが, 臨床エンドポイントを改善させず, 神経系の重篤な有害事象と関係していることが明らかとなった. 本研究は, NEJM誌において発表された.
トフェルセン(tofersen)は, FDAが新薬承認申請を受理したばかりでしたが, 本研究成果からは 「SOD1遺伝子異常のALSに対してトフェルセンの臨床効果は認められなかった」と言わざるを得ません. ALSに対してはさまざまな民間療法まで行われている現状がありますので, 1つずつ科学的検証をもとに明らかにしていく必要がありそうです.
トフェルセンはSOD1タンパク質合成を低下させることが知られており, SOD1の遺伝子変異を有するALS患者を対象に研究が行われている.
SOD1 ALS患者において, トフェルセンは28週間にわたり, CSF中のSOD1および血漿中のニューロフィラメント軽鎖の濃度を減少させたが, 臨床エンドポイントは改善せず, 有害事象と関連していた. なお, 本試験の延長試験において, 投与開始時期を早めた場合と遅らせた場合の潜在的な効果について, さらに評価を行っている.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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