海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Redlineらは、 習慣的ないびきと軽度の睡眠呼吸障害を有する小児を対象に、 アデノイド・口蓋扁桃摘出術の有用性を、 単盲検無作為化臨床試験PATSで検討した。 その結果、 アデノイド・口蓋扁桃摘出術は12ヵ月時点における実行機能や注意力を改善しなかったが、 行動上の問題、 眠気、 SDB症状、 QOL、 血圧低下などの副次的転帰は有意に改善した。 本研究は、 JAMA誌において発表された。
実臨床への応用が難しい研究結果です。 2つの主要評価項目は共にnegativeの結果で、 2次評価項目のいくつかで有意差を示しています。 JAMA特有のkey pointsのmeaningではこの結果を繰り返すだけでそれ以上踏み込んだ記載はありません。
習慣性のいびきと軽度の睡眠呼吸障害を有する小児におけるアデノイド・口蓋扁桃摘出術の有用性は明らかではない。
習慣性のいびきがみられ、 閉塞性無呼吸低呼吸指数 (AHI) が3未満の3~12.9歳のSDB患者 : 458例
患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
実行機能に関するbehavior rating inventory of executive function (BRIEF) のglobal executive composite (GEC) Tスコア、 注意力に関するGo/No-go (GNG) テストのd-prime信号検出スコアのベースラインから12ヵ月時までの変化量
BRIEF GEC Tスコアの12ヵ月時までの変化量
実行機能については両群間に有意差は認められなかった。
差 -0.96 (95%CI -2.66-0.74、 p=0.27)
GNG d-primeスコアの12ヵ月時までの変化量
注意力については両群間に有意差は認められなかった。
差 0.05 (95%CI -0.18-0.27、 p=0.68)
行動上の問題、 眠気、 SDB症状、 疾患特異的QOL、 全体的QOL
それぞれ、 監視的待機群よりも手術群術において有意に改善した。
血圧への影響
手術群は監視的待機群に比べ、 12ヵ月後の収縮期および拡張期血圧のパーセンタイル値の低下が大きかった。
変化量の群間差
AHIが睡眠中1時間当たり3イベント以上進行した患者の割合
監視的待機群に比し手術群において有意に少なかった。
群間差 -11.2% (97%CI -17.5~-4.9、 p<0.001)
重篤な有害事象
2.7% (231例中6例) の患者において、 アデノイド・口蓋扁桃摘出術に関連した重篤な有害事象が確認された。
習慣的ないびきを有する軽度睡眠呼吸障害患者において、 アデノイド・口蓋扁桃摘出術は12ヵ月時点における実行機能や注意力を改善しなかった。 しかし、 行動上の問題、 眠気、 SDB症状、 QOL、 血圧低下などの副次的転帰は有意に改善した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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