海外ジャーナルクラブ
1年前
Naaktgeborenらは、 化学療法中の乳癌患者を対象に、 運動が心保護に及ぼす影響を2件の無作為化比較試験の追跡研究で検討した。 その結果、 乳癌の長期生存者において、 化学療法中の運動や身体活動量が多いことは心臓の構造的パラメータ (ネイティブT1マッピング値) の改善と関連していた一方で、 心筋細胞外容積分画 (ECV) や左室駆出率 (LVEF)、 global longitudinal strain (GLS) といった機能的パラメータの改善とは関連していなかったことが示された。 本研究は、 Open Heart誌において発表された。
今回の研究成果からは、 化学療法後の乳癌長期生存者において心機能障害の有病率が高いことから、 本研究以外の代替の運動方法や薬剤など心保護手段に関するさらなる研究が必要である、 と言えそうです。
動物実験データにおいては、化学療法中の運動が心保護に有効であることを示唆しているが、 これを裏付ける臨床的証拠は限られている。
ネイティブT1マッピング値に関しては対照群に比し、 運動群で有意に低下した。
β=-20.16 (95%CI -35.35--4.97)
ECVに関しては、 両群間に有意な差はみられなかった。
β=-0.69 (95%CI -1.62-0.25)
LVEFとGLSについても両群間に有意な差はみられなかった。
LVEF:β=-1.36、 95%CI -3.45-0.73
GLS:β=0.31、 95%CI -0.76-1.37
化学療法中の身体活動に関する自己報告を集計したところ、 いずれの群においても、 身体活動レベルが高いことは、 ネイティブT1マッピング値およびECVの改善と関連が認められた。
乳癌の長期生存者において、 化学療法中の運動や身体活動量が多いことは心臓の構造的パラメータを改善することと関連していたが、 機能的パラメータの改善とは関連していなかった。 心機能障害の有病率が高いことから、 代替運動レジメンを含む心保護手段に関するさらなる研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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