【Open Heart】乳癌長期生存者の化学療法中の運動、心保護への影響は?
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Open Heart】乳癌長期生存者の化学療法中の運動、心保護への影響は?

【Open Heart】乳癌長期生存者の化学療法中の運動、心保護への影響は?
Naaktgeborenらは、 化学療法中の乳癌患者を対象に、 運動が心保護に及ぼす影響を2件の無作為化比較試験の追跡研究で検討した。 その結果、 乳癌の長期生存者において、 化学療法中の運動や身体活動量が多いことは心臓の構造的パラメータ (ネイティブT1マッピング値) の改善と関連していた一方で、 心筋細胞外容積分画 (ECV) や左室駆出率 (LVEF)、 global longitudinal strain  (GLS) といった機能的パラメータの改善とは関連していなかったことが示された。 本研究は、 Open Heart誌において発表された。 

📘原著論文

Effects of exercise during chemotherapy for breast cancer on long-term cardiovascular toxicity. Open Heart. 2023 Oct;10(2):e002464. PMID: 37903570

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

今回の研究成果からは、 化学療法後の乳癌長期生存者において心機能障害の有病率が高いことから、 本研究以外の代替の運動方法や薬剤など心保護手段に関するさらなる研究が必要である、 と言えそうです。

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乳癌のTNM臨床病期分類

乳腺腫瘍のTNM分類 (UICC-8版)

背景

動物実験データにおいては、化学療法中の運動が心保護に有効であることを示唆しているが、 これを裏付ける臨床的証拠は限られている。

研究デザイン

方法

  • 化学療法中の運動群と非運動群に割り付けられた乳癌患者を対象にした2件の無作為化比較試験の参加者 (185例) を平均8.5±1.1年後に再度診察した。
  • 診察と併せ心臓MRI、 心エコー、 心肺運動検査、 血液検査などを実施したほか、 患者報告アウトカムに関する質問票への回答を依頼した。

研究結果

ネイティブT1マッピング値

  • 運動群:1007±44ms
  • 対照群:1026±51ms

ネイティブT1マッピング値に関しては対照群に比し、 運動群で有意に低下した。

β=-20.16 (95%CI -35.35--4.97) 

ECV

  • 運動群:24.6%±2.8%
  • 対照群:25.3%±2.5%

ECVに関しては、 両群間に有意な差はみられなかった。

β=-0.69 (95%CI -1.62-0.25) 

LVEF・GLS

LVEFとGLSについても両群間に有意な差はみられなかった。

LVEF:β=-1.36、 95%CI -3.45-0.73
GLS:β=0.31、 95%CI -0.76-1.37

身体活動とネイティブT1マッピング値・ECV改善との関連

化学療法中の身体活動に関する自己報告を集計したところ、 いずれの群においても、 身体活動レベルが高いことは、 ネイティブT1マッピング値およびECVの改善と関連が認められた。

結論

乳癌の長期生存者において、 化学療法中の運動や身体活動量が多いことは心臓の構造的パラメータを改善することと関連していたが、 機能的パラメータの改善とは関連していなかった。 心機能障害の有病率が高いことから、 代替運動レジメンを含む心保護手段に関するさらなる研究が必要である。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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