海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Sunらは、 1990~2021年における出産可能年齢女性の女性特有の癌の罹患率や障害調整生存年 (DALYs) の変化を調査した。その結果、 子宮頸癌以外の女性特有の癌の罹患率は上昇したがDALY率は低下していること、 また癌による負荷には地域格差があることなどが示された。 本研究はEClinicalMedicineにて発表された。
世界全体を網羅した世界的意義のある研究ですが、 四川省または中国の研究費でここまで行われたことに驚きです。
女性の健康に関する世界的な状況は過小評価されており、 特に出産可能年齢女性の負荷は大きい。 そこで本研究は、 1990~2021年の出産可能年齢女性における女性特有の癌のパターンと動向を調査することを目的とした。
世界疾病負荷調査 (GBD) *¹2021から、 1990~2021年における204の国と地域の出産可能年齢 (15~49歳) での主要な女性特有の癌*²の罹患率と障害調整生存年 (DALYs) に関するデータを検索した。
年齢と社会人口統計的特性指数 (SDI) 別に、 女性特有の癌の年齢調整罹患率とDALY率の推定年間変化率 (EAPC) を算出し、 1990~2021年における経年変化を定量的に評価した。
2021年における女性特有の癌の新規発症例数は全世界で101万3,475例と推計された。 1990年からの変化は以下の通りであった。
年齢調整罹患率の年次上昇傾向は、 子宮頸癌以外の癌でみられた(EAPC : 0.16%)。
年齢調整DALY率はすべての癌で低下した(EAPC : -0.73%)。
次いで卵巣癌、 子宮体癌であった。 これら女性特有の癌の負荷には地域格差があった。
一方、 子宮頸癌の罹患率とDALY率はSDI増加とともに低下した。
子宮体癌を除き、 若年層で最も顕著な変化がみられた。
著者らは 「DALYの地域差を伴う女性癌の世界的な罹患率の上昇は、 世界の出産可能年齢女性における負荷を軽減するための革新的な予防と医療戦略の緊急の必要性を明確に示している」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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