医師のためのLIFESTYLE特集
2年前
円安が止まらない。 為替相場は一時、 1㌦=150円を突破し、 1990年以来32年ぶりの水準に達した。 医師の資産にどんな影響が出ているのか。
まず、 為替相場を振り返っておく。 今年3月に1㌦=115円前後だった円相場は、 10月下旬に一時152円近くまで下落。 現在は145~150円近辺で推移している。 これはわずか半年余りで円の価値が2~3割ほど下がったことを意味する。
背景にあるのは米国の利上げだ。 米国の中央銀行 (FRB=米連邦準備制度理事会) は今年3月、 エネルギー価格の高騰などを理由に起きている激しいインフレを抑えようと、 利上げに踏み切った。
これを機に、 金融緩和で金利を低く抑える日本との金利差が意識され、 円を売ってドルを買う動きが加速。 円は下落を続け、 歴史的な円安水準を次々に突破した。
為替相場を予測するのは難しいが、 日本銀行が超低金利政策を続ける限り、 つまり現在の黒田東彦総裁が任期を終えるまで (任期満了は2023年4月予定) は少なくともこの傾向は変わらないと見られている。
円安にはメリット、 デメリットの両面がある(図)。
ただ、 今は輸入コストの上昇に伴い、 企業物価や消費者物価が上昇する一方、 賃金の上昇が伴っていない。 可処分所得が減り、 いわゆる「悪い円安」の様相を呈している。
円安・インフレに弱い資産としてまず挙げられるのが、 現金や預貯金だ。 1,000万円の現金を例にとってみよう。 例えば1㌦=100円だったのが150円まで円安になり、 その影響で輸入品を中心に物価が3%上がった場合、 1,000万円の価値は30万円 (3%) 目減りすることになる。
そもそも、 1,000万円をドルに両替する場合は、 1㌦=100円なら10万㌦だが、 1㌦=150円だと約6万6,000㌦にしかならない。
円安とインフレが何年も続けば、 その間、 現金の価値は下がり続けることになる。 また、 生命保険、 特に貯蓄型保険は長期固定金利の商品が多く、 将来受け取る保険金の価値が相対的に下がることになる。
そうした目減りリスクを回避するために、 投資信託や不動産などの資産運用を視野に入れる必要が出てくる。
過去の医師転職サイトの調査では、 貯蓄1,000万円を超える医師は約6割に上る一方、 資産運用をしているのは約3割にとどまるというデータもある。 資産運用をしていても一番多いのが 1~500万円以下の層だという。
では、 高金利を背景に最近急増している米ドル建て外貨預金や、 米ドル建て保険を始めた方がいいのか。 気になっている人も多いだろう。 次回は外貨預金などをみていく。(=続く)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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