【JCOG1411/ FLORA】未治療の超低腫瘍量進行FLへ早期リツキシマブ投与でEFS改善
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HOKUTO編集部

5日前

【JCOG1411/ FLORA】未治療の超低腫瘍量進行FLへ早期リツキシマブ投与でEFS改善

【JCOG1411/ FLORA】未治療の超低腫瘍量進行FLへ早期リツキシマブ投与でEFS改善
未治療で超低腫瘍量の進行期濾胞性リンパ腫 (FL) に対する抗CD20抗体リツキシマブによる早期介入の有効性について、 経過観察群を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験JCOG1411/FLORAの結果より、 EFSが有意に改善した。 東北大学病院血液内科准教授の福原規子氏が発表した。

背景

早期リツキシマブ投与の経過観察に対する優越性を検証

低腫瘍量進行期の濾胞性リンパ腫 (LTB-FL) に対する経過観察は妥当な初期アプローチと考えられている。 しかし高腫瘍量 (HTB) へ進行した場合は、 殺細胞性化学療法の実施や組織学的形質転換などを引き起こす可能性が指摘されている。 2014年の報告¹⁾以来、 リツキシマブ療法はLTB-FLに対する初期治療の選択肢となったが、 適切な投与開始時期は依然として不明である。

本試験では、 経過観察を行わず早期リツキシマブ投与を開始することが、 LTB-FLにとって有益であるという仮説を立てた。

試験の概要

対象は腫瘍最大径 <5cm等の基準を満たす超低腫瘍量進行期FL

本研究では、 LTB-FLについて、 GELF基準の 「低腫瘍量」 を 「超低腫瘍量*」 と 「中腫瘍量**」 の2群に分類した。 前者を試験の対象に、 後者をリツキシマブ投与基準に設定した。

試験の対象は、 未治療かつ臨床病期Ⅲ/Ⅳ期の超低腫瘍量FL (Grade 1/2/3A) の20~80歳の患者とされた。

*超低腫瘍量は以下の基準を満たす患者と定義
 ・腫瘍最大径 <5cm
 ・長径 ≧3 cmの腫大リンパ節を有するリンパ節領域≦2か所
 ・胸腹水なし
*中腫瘍量は以下のいずれか1つ以上に合致する患者と定義
 ・腫瘍最大径 5cm以上7cm未満
 ・長径 ≧3 cmの腫大リンパ節を有するリンパ節領域が3か所
 ・重篤な胸腹水なし

早期リツキシマブ投与群と経過観察群でEFSを比較評価

試験対象となった292例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。

  • リツキシマブ群 : 144例
登録後28日以内にリツキシマブ375mg/m²を1、 8、 15、 22日目に投与し、 その後は外来で12週毎の経過観察を実施
  • 経過観察群 : 148例
外来で12週毎の経過観察を実施

両群とも、 経過観察中に中腫瘍量規準に該当した場合はリツキシマブ療法を行い、 その後は12 週毎の経過観察を行った。 再度中腫瘍量規準に該当した場合は、 プロトコル治療の中止基準に該当しない限り、 リツキシマブ療法と12週毎の経過観察を繰り返した。

主要評価項目はHTBへの進行、 殺細胞性抗癌薬および/または放射線療法の開始、 組織学的形質転換、 または死亡と定義された無イベント生存期間 (EFS) だった。

副次的評価項目には、 無殺細胞性化学療法生存期間、 無組織学的形質転換生存期間 (HTFS)、 全生存期間 (OS)、 無増悪生存期間 (PFS)、 奏効割合 (ORR)、 有害事象 (AE) が設定された。

試験の結果

患者背景は両群で概ね一致

年齢中央値、 性別、 臨床病期、 FL Gradeなどの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。 リツキシマブ群/経過観察群のFL Grade3Aは22.2% / 20.3%、 FLIPI 高リスクはそれぞれ38.2% / 36.5%、 FLIPI2高リスクはそれぞれ14.6% / 18.2%であった。

経過観察中にリツキシマブ群22例、 経過観察群43例が中腫瘍量規準に該当し、 JCOGのデータ安全性モニタリング委員会は2024年6月、 事前に計画された2回目の中間解析に基づき、 試験の早期中止を勧告した。

2.5年時のEFS中央値は6.9年、 経過観察に比べ有意に改善

2023年12月をデータカットオフとした2回目の中間解析 (追跡期間中央値2.5年) のEFS中央値は、 リツキシマブ群が6.9年 (95%CI 4.4-6.9年)で、 経過観察群の4.5年 (同 3.2-5.5年) に比べて有意な改善を示した (HR 0.625 [95%CI 0.425-0.918] 、 log-rank 片側p=0.0078) 。

さらに2024年6月をデータカットオフとしたアップデート解析 (追跡期間中央値2.8年) でも、 EFS中央値は、 リツキシマブ群が6.2年(95%CI 5.0年-NE)で、 経過観察群の4.5年(同 3.2-5.5年)に比べて良好な結果であった (HR 0.690、 95%CI 0.485-0.982) 。

EFSイベントの内訳で最も多く示されたのは、 HTBへの進行であった (リツキシマブ群18.8% / 経過観察群32.4%)。 その他のイベントとして、 組織学的形質転換 (8.3% / 12.8 %)、 殺細胞性化学療法の開始 (11.8% / 8.8%) などが認められた。

早期リツキシマブでORRは良好な結果も、 PFSとOSは両群で同等

2024年6月をデータカットオフとした無殺細胞性化学療法生存期間中央値は、 リツキシマブ群が6.2年で、 経過観察群の4.8年に比べて良好な結果であった (HR 0.704、 95%CI 0.493-1.007) 。

一方PFS中央値は両群とも3.0年であり、 両群間に差は認められなかった(HR 0.911、 95%CI 0.666-1.247) 。 ただし3ヵ月時点でのORRはリツキシマブ群が70.8%、 経過観察群が3.4%であったことから、 リツキシマブ群では早期のリツキシマブ投与によって腫瘍縮小後にPFSイベントが発生しやすかった可能性が考察された。

3年OS割合は、 リツキシマブ群が97.5%、 経過観察群が98.5%と両群で同等だった (HR 0.908、 95%CI 0.329-2.506) 。 3年HTFS割合はそれぞれ91.4%、 87.4%と有意差を認めなかった (HR 0.832、 95%CI 0.453-1.527) 。

Grade3/4のリンパ球減少が≧5%に発現

5%以上の割合で報告されたGrade2~4の非血液学的AEの発現は、 インフュージョンリアクション、 上気道感染、 高血圧だった。 血液学的AEとしては、 リンパ球減少の発現が認められた。

結論

超低腫瘍進行FLに早期リツキシマブ投与を推奨

福原氏は 「未治療の進行期LTB-FL患者において、 リツキシマブによる早期介入はEFSを有意に改善することが示された。 この結果より、 進行期LTB-FL患者の初期治療としてリツキシマブの早期導入が推奨される」 と報告した。

出典

¹⁾ Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):424-35.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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