【J Clin Oncol】ICI治療前の抗菌薬曝露はOS悪化と関連
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【J Clin Oncol】ICI治療前の抗菌薬曝露はOS悪化と関連

【J Clin Oncol】ICI治療前の抗菌薬曝露はOS悪化と関連
Engらはがん患者を対象に、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の治療を開始した65歳以上の患者を対象に、 ICI開始前の抗菌薬への曝露が全生存期間 (OS) に与える影響を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 特にフルオロキノロンへの曝露が、 高齢のがん患者のOS悪化と関連することが明らかとなった。 本研究はJ Clin Oncol誌において発表された。

📘原著論文

Impact of Antibiotic Exposure Before Immune Checkpoint Inhibitor Treatment on Overall Survival in Older Adults With Cancer: A Population-Based Study.J Clin Oncol. 2023 Feb 24;JCO2200074. PMID: 36827626

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

後ろ向き研究の調整できない因子である臨床医の判断、 本研究であれば抗菌薬の選択と投与した理由がはっきりしません。 キノロン系抗菌薬が投与された、 と考えるか、 キノロン系抗菌薬が必要なくらい状態が悪くなっていたと捉えるか、 難しいです。 がんのステージでの調整もされていませんので、 仮説の提唱にとどめるのが無難です。


背景

ICI治療前の抗菌薬への曝露は、 腸内細菌叢の変化を通じて転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、 大規模な評価は不足している。

研究デザイン

対象

カナダ・オンタリオ州で2012年6月〜2018年10月にICI治療を開始した65歳以上のがん患者

曝露

ICI治療の開始前1年間と60日間における抗菌薬の曝露状況を調査

主要評価項目

OSと抗菌薬曝露との関連

研究結果

抗菌薬曝露の状況

ICI治療を受けた2,737例のがん患者のうち、 59%が1年前、 19%が60日前に抗菌薬を使用していた。

OS中央値

OS中央値は306日であった。

抗菌薬曝露とOS悪化の関係

ICI前1年以内のあらゆる抗菌薬への曝露は、 OS悪化と関連していた (P=0.03)。

aHR 1.12、 95%CI 1.12-1.23

フルオロキノロン系薬との関連

抗菌薬クラス解析では、 フルオロキノロン系薬のICI前の1年以内 (aHR 1.26、 95%CI 1.13-1.40、 P<0.001) または60日以内の曝露 (aHR 1.20、 95%CI  0.99-1.45、 P=0.06) がOS悪化と関連しており、 1年間 (aHR 1.07/週、 95%CI 1.03-1.11、 P<0.001) および60日 (aHR 1.12/週、 95%CI 1.03-1.23、 P=0.01) の総被曝週数に基づいて用量効果がみられた。

結論

この研究では、 ICI治療前の抗菌薬、 特にフルオロキノロン系薬への曝露が、 癌の高齢者におけるOS悪化と関連することが観察された。 免疫原性を高めるために腸内細菌叢を変化させることを目的とした介入は、 抗菌薬への曝露歴があるICIを受ける患者の転帰を改善するのに役立つかもしれない。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【J Clin Oncol】ICI治療前の抗菌薬曝露はOS悪化と関連