治療前に必要な感染症スクリーニングは?
著者

MDアンダーソンがんセンター感染症科 松尾貴公

7ヶ月前

治療前に必要な感染症スクリーニングは?

治療前に必要な感染症スクリーニングは?
CAR-T療法と感染症に関する実践的な知識を、 1分で手早くチェックしましょう!今回は感染症スクリーニングについてです。

治療前評価の基本方針

ワクチン歴を含む詳細な問診と感染症スクリーニングを実施

CAR-T療法を実施する際には、 リンパ球除去化学療法やCAR-T細胞投与前にワクチン歴を含む詳細な問診と身体診察が必要である。

症状や身体所見が認められた場合は、 感染症科のコンサルトを含めた精査が推奨される。

感染が判明した場合、 化学療法による感染増悪リスクと、 がん進行リスクを総合的に評価し、 多職種で治療のタイミングを検討することが重要である。

推奨される検査項目

原則として実施

HIV抗原/抗体

陽性時は核酸検査も実施する。

HBs抗原、 抗HBc抗体、 抗HBs抗体

HBsAg陽性時はHBV DNA測定も測定する。

HCV抗体

陽性時は核酸検査も行う。

梅毒検査

施設ごとのガイドラインに従って実施する。

CMV IgG

陽性時は、 再活性化のリスクが高い患者であればCMV DNAのモニタリングを検討する。

呼吸器症状がある場合

呼吸器ウイルスのPCR検査

SARS-CoV-2を含むmultiplex PCRを実施する。

胸部画像検査 (必要に応じて)

無症候性成人に対するスクリーニングの有用性は明確ではない。 多くの施設では症状がある場合のみ行う。

重症な下気道感染 (特にSARS-CoV-2) がある場合、 CAR-T投与は改善するまで延期すべきとされている (14~20日の延期が推奨)。

軽症や無症候性であっても、 がんの進行リスクが高い場合は多職種での検討が推奨される。

リスクに応じて追加

HTLV-1 IgG

日本ではルーチンには推奨されていないが、 リスクに応じて検討する。

結核

リスクがある地域の出身者では、 陰性であってもリンパ球減少や化学療法歴を踏まえ慎重に評価する。

Strongyloides stercoralis IgG

日本ではルーチンには推奨されていないが、 リスクに応じて検討する。

トキソプラズマIgG

リスク・曝露歴のある患者で評価する。

HSV-1/2 IgG、 VZV IgG

抗ウイルス予防が行われていない施設ではスクリーニングが推奨される。


治療前に必要な感染症スクリーニングは?
<出典>
Transplant Cell Ther. 2024 Oct;30(10):955-969.
Blood. 2023;142(Suppl 1). 2341.

著者 : 松尾 貴公
2011年 長崎大学医学部卒業、 聖路加国際病院初期研修・内科専門研修・内科チーフレジデント・感染症科フェロー・医員を経て2021年 テキサス大学ヒューストン校/MDアンダーソンがんセンターにて臨床留学。 2022年 同チーフフェロー、 2023年 同アドバンストフェロー、 2024年よりメイヨークリニック感染症科の整形外科感染症フェローとして骨関節感染症に特化したトレーニングを行い更なる研鑽を積んでいる。 また、 日本チーフレジデント協会 (JACRA) 世話人を経て、 現在日本感染症教育研究会 (IDATEN) KANSEN JOURNAL編集委員・米国感染症学会 (IDSA) 感染症教育推進委員。 2024年2月よりFebrile Podcast ID Digital Institute (IDDI)のメンバーも務めており、 デジタルデバイスを活用した新しい感染症教育に積極的に取り組んでいる。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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