【J Clin Oncol】定期検診によって高リスク者の膵臓癌早期発見が可能か
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2年前

【J Clin Oncol】定期検診によって高リスク者の膵臓癌早期発見が可能か

【J Clin Oncol】定期検診によって高リスク者の膵臓癌早期発見が可能か
Dboukらは, 膵臓癌高リスク者1,461名を対象に, 定期検診で膵臓癌の早期発見が可能かどうかを検討する多施設共同試験を実施 (CAPS5試験) . その結果, CAPS5の高リスクコホートで発見された膵臓癌の多くが, 長期生存可能なI期病変であった. 本研究はJ Clin Oncol誌において発表された. 

研究デザイン

  • 2014~2021年の間に, 膵臓サーベイランスが推奨された個人を, CAPS5研究8施設のいずれかにプロスペクティブに登録した.
  • 主要評価項目:検出された膵管腺癌 (PDAC) のステージ分布.
  • 全生存期間はKaplan-Meier法を用いて決定.

研究結果

  • CAPS5に登録された高リスク者1,461名のうち, 48.5%がPDAC感受性遺伝子に病原性変異を有していた.
  • 10名の患者がPDACと診断され, そのうち1名はサーベイランスから脱落した4年後に転移性PDACと診断された.
  • 残りの9名のうち, 7名 (77.8%) はサーベイランス中にI期のPDACが検出され, 1名はⅡ期, 1名はⅢ期の病変を有していた.
  • 9名のPDAC患者のうち7名は, 中央値で2.6年の追跡の後, 生存していた.
  • 8名の患者が疑い病変に対して外科的切除を受けたが, 3名が高悪性度, 5名が低悪性度の異形成が認められた.
  • CAPS1-5試験の全コホート (1,731名) では, 26例のPDACが診断され, 19例はサーベイランス内で, 57.9%はI期, 5.2%はⅣ期であった. サーベイランス外で検出された7例のPDACのうち6例 (85.7%) はⅣ期であった.
  • 検診でPDACが検出された患者の5年生存率は73.3%, 全生存期間中央値は9.8年であったのに対し, サーベイランス外でPDACと診断された患者の全生存期間中央値は1.5年であった.
HR 0.13, 95%CI 0.03~0.50, P= 0.003

結論

  • CAPS5高リスクコホート内で診断された膵臓癌の多くは, 長期生存が可能なI期病変であった.

原著

Dbouk M, et al, The Multicenter Cancer of Pancreas Screening Study: Impact on Stage and Survival. J Clin Oncol. 2022 Jun 15;JCO2200298.PMID: 35704792

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
膵臓癌の早期発見が可能になるという血液マーカーなどの研究成果が散見されますが, 実際のコホートできちんとI期で発見されているという結果を証明した大変意義のある研究です. 
こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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