【NEJM】サル痘患者、多様な皮膚・全身所見を呈することが判明 (528例の検討)
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【NEJM】サル痘患者、多様な皮膚・全身所見を呈することが判明 (528例の検討)

【NEJM】サル痘患者、多様な皮膚・全身所見を呈することが判明 (528例の検討)
Thornhillらは, 16カ国43施設で診断された528人のサル痘患者の臨床経過や転帰について報告. サル痘患者は発疹や性器病変, 粘膜病変など, 多様な皮膚・全身所見を呈することが明らかとなった. 本研究は, NEJM誌において発表された. 

原著

Thornhill JP, et al, Monkeypox Virus Infection in Humans across 16 Countries - April-June 2022. N Engl J Med. 2022 Aug 25;387(8):679-691. PMID: 35866746

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
国内の某研究所の報告だとどうしてもその臨床像がぼんやりしてしまいますが…. このNEJMの研究がサル痘患者の臨床像をはっきりと捉えていると思います. どういう患者さんに疑わないといけないのか, また感染経路もしっかりと捉えられていると思いますのでぜひ一読ください. 

背景

2022年4月以前は, サル痘ウイルスのヒトへの感染は, 流行地であるアフリカ以外ではほとんど報告されていなかったが, 現在では世界中で症例が発生している. ただし, サル痘の感染経路, リスク因子, 臨床症状, および感染後の転帰は十分に定義されていない.

研究デザイン

対象は、 PCR法により確認されたサル痘ウイルス感染症の患者528人. 国際共同研究グループにより, 症候, 臨床経過, 転帰が検討された.

結果

感染者の98%はゲイまたはバイセクシュアル男性

  • 白人:75%
  • HIV感染症患者:41%
  • 年齢中央値:38歳
感染者の95%で性行為による感染が疑われた

皮膚所見は発疹以外に性器病変73%

  • 発疹:95% (64%は10個未満),
  • 性器病変:73%
  • 粘膜病変:41% (54%は性器病変が1個) .

発疹に先行する全身症状は発熱、嗜眠など非特異的

  • 発熱:62%
  • 嗜眠:41%
  • 筋肉痛:31%
  • 頭痛:27%

その他の特徴

  • リンパ節腫脹の56%の患者に確認された.
  • 性感染症の併発は,検査を受けた377名中109名 (29%) に報告された.
  • 曝露歴が明らかな23名の潜伏期間の中央値は7日 (範囲:3〜20日) であった.
  • 精液を分析した32人中29人からサル痘ウイルスDNAが検出された.
  • 患者の入院理由は,疼痛管理 (主に肛門の激痛:21名), 軟部組織感染 (18名), 経口摂取を制限する咽頭炎 (5名), 眼病変 (2名), 急性腎障害 (2名), 心筋炎 (2名), 感染制御目的 (13名) であり, 死亡例はなかった.

結論

サル痘は多様な皮膚・全身所見を呈した. 従来のサル痘流行地域以外の症例が同時に確認されたことは,さらなる地域的な広がりを抑えるために,症例の迅速な特定と診断が必要である.

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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