JSMO2025参加印象記 ~キャリアエンパワーメント委員会の取り組みを振り返る~
著者

日本臨床腫瘍学会

17日前

JSMO2025参加印象記 ~キャリアエンパワーメント委員会の取り組みを振り返る~

JSMO2025参加印象記 ~キャリアエンパワーメント委員会の取り組みを振り返る~
「キャリアパスとジェンダーバランスについて語ろう」 の様子

2025年3月6~8日に開催された第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 (JSMO2025) において、 キャリアエンパワーメント委員会による 「JSMO’s Career Support Café」 が設置されていました。 学会に参加したJSMO会員が、 ふらっと訪れコーヒーやお菓子を片手に語り合う場として3日間解放していましたが、 時間帯によって特定のテーマについて語り合うネットワーキング企画が開催されました。 学会参加といえば講義を聞いて学ぶスタイルが主流ですが、 気軽に楽しめるネットワーキング企画がどのように行われていたか、 開催者の目線で振り返ります。

※記事内写真は全てJSMOキャリアエンパワーメント委員会提供

1) キャリアエンパワーメント委員会/ SNS-WG合同企画 「SNS 時代における学術活動 ... みなさんどうしていますか?」

執筆担当者 : 近藤 千紘先生 (国立がん研究センター東病院 腫瘍内科)

JSMO2025参加印象記 ~キャリアエンパワーメント委員会の取り組みを振り返る~

3月6日 (木) の10:40-11:40に行われたSNS-ワーキンググループ (WG) との合同企画は、 SNS-WGのシンポジウム (8:30-10:00) に引き続いて実施され、 主にその参加者が20名ほど小部屋に集まっていました。

JSMOは公式のXアカウントがありますが、 2024年の学術集会からSNS-WGメンバーによる投稿を積極的に行いました。 フォロワー数の増加はこの学術集会時が最も多くありましたが、 今後の最適なSNSツールや、 よい運用の仕方とはどんなものか、 に話題が集まりました。 「映え」 を意識し若者層にターゲットを広げるならやはりInstagramやTikTokなどもよいのではないか、 という意見に対し、 これまで同様の学会員によるボランティア運用では困難が多く、 プロに業務委託をするなどの大胆なかじ取りが必要なのではとの意見に参加者は納得していました。

またタイムリーで話題性の高い内容の発信も重要だという意見に対し、 緊急時は学会全体の意見を反映することが難しいため、 発信には細心の注意が必要ではないかというSNS時代のジレンマも話し合われていました。

日本では海外と比べると個人のSNS文化が未熟ですが、 学会側が写真撮影の解禁や公式ハッシュタグ (#JSMO25) を統一するなど、 発信しやすい土壌が整っていくとよいのでは?という話も印象的でした。 JSMO2026でも合同企画を考えています。

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2) キャリアエンパワーメント委員会/ 教育企画部会合同企画 「キャリアパスとジェンダーバランスについて語ろう」

執筆担当者 : 小野 麻紀子先生 (がん研有明病院総合腫瘍科 副医長)

3月6日 (木) の13 : 00-14 : 00に行われた教育企画部会との合同企画では、 海外からの参加者を中心に約35名が集合し、 「キャリアパスとジェンダーバランスについて語ろう」 の企画が開催されました。

はじめに、 2024年10月にJSMOと日本癌治療学会 (JSCO) 会員を対象に行われた 「キャリアパスとジェンダーバランス」 に関するアンケート結果が報告され、 キャリアがライフイベントに及ぼす影響およびライフイベントがキャリアに及ぼす影響のいずれも男女間で大きな差を認めたこと、 キャリアへの障壁を感じている医師は女性で有意に多いことなどが共有されました。

次に、 Erika Hamilton先生が、 米国の状況について発表し、 米国では腫瘍内科医の3割を女性が占めるが、 教授職は、 2割にとどまること、 学術誌のAuthorshipにおいて、 女性がunderrepresentedであることなどが報告されました。

その後の総合討論では、 さまざまな角度でディスカッションが行われ、 状況の改善には30年かかること、 各国の文化・状況によってアプローチは異なるであろうこと、 個人・施設・国といった複数のレベルでの取り組みが必要であることなどが共有され、 大変実りある時間となりました。 JSMO2026でも開催を予定しています。

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3) キャリアエンパワーメント委員会/ 会員委員会合同企画 「これからのオンコロジストの話をしよう!!~キャリパワ委員会白熱教室~」

執筆担当者 : 東 光久先生 (奈良県総合医療センター総合診療科 部長)

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3月8日 (土) 11 : 00-12 : 00に、 医学生・研修医を中心に約25名が集合し、 「これからのオンコロジストの話をしよう!!~キャリパワ委員会白熱教室~」 が開催されました。

若手医師や医学生が中心となり、 腫瘍内科の魅力や働き方について熱い議論が交わされた本企画。 3名の若手~中堅腫瘍内科医がこれまで歩んできたキャリアについて率直に語り、 その後は参加者との活発な質疑応答が行われました。 初期研修やがん種の幅広い経験、 緩和ケアとの向き合い方など、 リアルな悩みと期待が共有され、 参加者それぞれが自分自身の進路について改めて考える貴重な機会となりました。

また、 「専門医取得後のフォロー体制」 「専攻医向けワーキンググループの新設」 など、 今後の制度やサポート体制への要望も多く挙がりました。 議論の熱量は終始高く、 終了後には 「まさに白熱教室だった」 との声も聞かれました。

キャリアエンパワーメント委員会は、 JSMO2026でも、 若手医師や学生を対象とした若手世代のエンゲージメントと将来の腫瘍内科医育成に貢献する企画を計画しています。

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4) キャリアエンパワーメント委員会企画 Woman's Day 「女性で気楽におしゃべりをする会」

執筆担当者 : 山﨑 知子先生 (埼玉医科大学頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科 教授)

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3月8日 (土) 13:00~14:00に開催されたWomen's Day 「女性で気楽におしゃべりをする会」 は、 「国際女性デー」 に合わせて、 茶話会形式で実施されました。 参加者は8名と少人数でしたが、 多職種にわたる多様な構成で、 それぞれの立場からの意見や思いを自由に語り合うことができました。

仕事や人間関係に関する悩み、 今後のキャリアへの思い、 本当にやりたいことについての気づきなど、 多岐にわたる話題が自然と生まれ、 参加者同士がしっかり耳を傾け合い、 深い対話ができたことが印象的でした。 「話すことができてよかった」 という声や、 新たな横のつながりが生まれたことも大きな励みとなりました。

日常の中では、 自分の思いや考えを安心して話せる場は限られていると感じます。 このような機会を今後も大切にしていきたいと思います。 次回のJSMO2026でも開催を予定しています。

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おわりに

JSMO2025で実施されたネットワーキング企画について振り返りました。 今年は日本人だけでなく、 海外参加者の集まりがよかったのが印象的です。 また若手医師が集まったときのエネルギーにも圧倒されました。

JSMOは会員の74%は医師ですが、 多くの職種の会員により構成されています。 今後はこの企画が、 性別や国籍、 年齢や職種などに分けることでスモールグループならではの語りやすさを残しつつ、 多種多様な構成員がお互いを理解するために可能な範囲で聴講もできるような取り組みに発展していくと、 よりよいのではと感じます。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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