海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Rechらは、 抗シトルリン化蛋白抗体 (ACPA) 陽性で関節に不顕性の炎症性変化を有する関節リウマチの高リスク患者を対象に、 アバタセプトの有効性を無作為化二重盲検プラセボ対照試験ARIAAで検討した。 その結果、 アバタセプトによる6ヵ月間の治療は、 MRIで評価される炎症所見、 関節リウマチの発症リスクを有意に低下させ、 この効果は、 1年間の無投薬観察期間を経ても持続した。 本研究はLancet誌において発表された。
アバタセプトの有効性と安全性を評価した無作為化比較試験なのですが、 efficacyとsafetyについてはtitle/abstractの中でそれぞれ一回しか使用されておらず、 新たな無作為化比較試験の記述の形となっています。
ACPA陽性で関節に不顕性の炎症所見を認める患者は、 関節リウマチ発症のリスクが高いことが知られている。 しかし、 このような臨床前段階の疾患を阻止する治療戦略はまだ確立されていない。
ACPA陽性で関節痛 (ただし腫脹はなし) を有し、 利き手へのMRIで骨炎、 腱鞘炎、 潜在性滑膜炎の徴候を有する18歳以上の成人患者
患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
両群ともに6ヵ月間の投与を行い、 その後は12ヵ月間、 二重盲検下で無投薬の観察を行った。
6ヵ月時点のMRI検査で骨炎、 腱鞘炎、 潜在性滑膜炎が減少した患者の割合
6ヵ月時点のMRI検査で骨炎、 腱鞘炎、 潜在性滑膜炎が減少した患者の割合
絶対群間差 : 26.5%ポイント (95%CI 5.9-45.6%ポイント、 p=0.014)
関節リウマチを発症した患者の割合
HR 0.14 (95%CI 0.04-0.47、 p=0.0016)
治療効果の持続
投与終了から12ヵ月経過した18ヵ月時点においても、 MRI検査で骨炎、 腱鞘炎、 潜在性滑膜炎が減少した患者の割合および関節リウマチを発症した患者の割合に関して、 両群間に有意差が認められた。
MRI検査で骨炎、 腱鞘炎、 潜在性滑膜炎が減少した患者の割合
p=0.012
関節リウマチを発症した患者の割合
HR 0.14 (95%CI 0.04-0.47、 p=0.018)
重篤な有害事象
11例の参加者に12件の重篤な有害事象が認められた。
試験期間中の死亡
死亡例はなかった。
アバタセプトによる6ヵ月間の治療は、 ACPA陽性の関節リウマチ高リスク患者において、 MRIで評価される炎症所見、 関節リウマチの発症リスクを有意に低下させた。 この効果は、 1年間の無投薬観察期間を経ても持続した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。