HOKUTO編集部
2年前
新連載開始!聖路加国際病院の藤野先生による 「貧血マネジメント」。 今回は貧血の定義や初回マネジメントについて解説いたします!
貧血とはヘモグロビン値が様々な原因で低下し、 それにより引き起こされる症候群のこと。WHOが定めるヘモグロビン値基準は以下の通りである¹⁾。
貧血の原因は、 大きく分けると2つしかない。
① 産生の低下
② 喪失の増大 (出血、 溶血、 無効造血)
一般的にはMCV*から鑑別する方法が多いが、 上記の原因を考えると、 まず赤血球が産生されている(喪失が増大)のか、 産生が低下しているのかを考える方が迷いがなく鑑別しやすい。
実際に貧血鑑別の流れを語る前に、 まずは関連する指標を整理したい。
▶網赤血球 (Ret)
骨髄での赤芽球系造血の指標が網赤血球 (Ret; reticulocyte)である。 これは脱核した直後の幼弱な赤血球で、 末梢血中にも出現する。 大きさは成熟赤血球よりやや大きく、 24~48時間で成熟する (つまり網赤血球としての寿命は約1日)。
正常値は0.4~1.9%とされるが後述のようにヘマトクリットやHb値によって適正値は変わる。 Retをオーダーすると、 %と実数が表示されるがこれらは経時的な赤芽球造血の変化を見るのに有用である。
▶網赤血球産生指標 (RPI)
一方で、 貧血の鑑別をする時に網赤血球の絶対数や%のみでは産生亢進しているのか低下しているのか正確に判断はできない。
そこで使用するのが網赤血球産生指標 (RPI; reticulocyte production index) である²⁾³⁾。 式の詳細はこちらを参照。
以下の理由から、 筆者は貧血の鑑別でMCVより先に「RPI」 を評価することにしている。
以下に筆者の頭の中にある貧血鑑別のフローを示す。 MCV鑑別法は次回以降に詳述する。
1) Haemoglobin concentrations for the diagnosis of anaemia and assessment of severity.https://apps.who.int/iris/handle/10665/85839 (2022年10月20日アクセス)
4) Wintrobe's Clinical Hematology 14th Edition. Wolters Kluwer, 2018
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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