前治療歴のある転移性または切除不能のミスマッチ修復欠損 (dMMR) または高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) 進行非大腸癌患者において、 抗PD-1抗体ペムブロリズマブの効果を検証した第Ⅱ相試験KEYNOTE-158の結果より、 臨床的有効性が示された。
原著論文
▼解析結果
Efficacy of Pembrolizumab in Patients With Noncolorectal High Microsatellite Instability/Mismatch Repair-Deficient Cancer: Results From the Phase II KEYNOTE-158 Study. J Clin Oncol. 2020 Jan 1;38(1):1-10. PMID: 31682550
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KEYNOTE-158試験の概要
対象
1次治療として標準的な化学療法歴のある切除不能な局所進行/転移性のdMMRまたはMSI-Highを有する固形癌患者
肛門癌、 胆道癌、 肺・虫垂・小腸・結腸・直腸及び膵臓由来の神経内分泌腫瘍、 子宮内膜癌、 子宮頸癌、 外陰癌、 小細胞肺癌、 中皮腫、 甲状腺癌、 唾液腺癌、 MSI-Highの進行性固形癌 (結腸・直腸癌を除く) のいずれかの腫瘍型の患者を登録
方法
233例に対し、 ペムブロリズマブ200㎎を3週毎に1回、 35サイクルの投与を計画された。
評価項目
- 主要評価項目:奏効率 (ORR)
- 副次評価項目:奏効期間 (DOR) 、 無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 安全性
KEYNOTE-158試験の結果
患者背景
- 年齢中央値は60.0歳、 58.8%が女性
- 腫瘍型として多かったのは子宮内膜癌、 胃癌、 胆管癌、 膵癌、 小腸癌、 卵巣癌。前立腺癌患者は6例 (2.6%)
- 追跡期間の中央値は13.4ヵ月
- 主な治療中止の理由は病勢進行 (119例) 、 有害事象 (29例) 、 離脱 (8例) 、 完全奏効 (3例) だった
ORR
(95%CI 28.3-40.8%)
- 奏効が得られた患者における、 奏効までの期間中央値は2.1ヵ月 (95%CI 1.3-10.6ヵ月) であった。
DOR中央値
(95%CI 2.9-31.3ヵ月)
- 12ヵ月以上のDORを有するのは86.9%、 18ヵ月以上は79.9%、 24ヵ月以上は77.6%と推定された。
PFS中央値
(95%CI 2.4-4.9ヵ月)
- PFS率は12ヵ月時で33.9%、 24ヵ月時で29.3%と推定された。
OS中央値
(95%CI 13.5ヵ月-未到達)
- OS率は12ヵ月時で60.7%、 24ヵ月時で48.9%と推定された。
有害事象 (AE)
- 治療関連AEは151例 (64.8%) 、 Grade3以上の治療関連AEは34例 (14.6%) に認められた。
- 治療関連AEにより治療を中止したのは22例 (9.4%) 。
- 免疫関連AEは54例 (23.2%) に生じ、 Grade3-4の免疫関連AEは14例 (6.0%) 、 治療を中止したのは12例 (5.2%) であった。 最も多くみられたのは、 甲状腺機能低下症、 甲状腺機能亢進症、 大腸炎、 肺炎であった。
著者らの結論
前治療歴のある転移性または切除不能のMSI-H/dMMR進行非大腸癌において、 ペムブロリズマブ投与の臨床的有効性が示された。