【JAVELIN Renal 101】未治療進行腎細胞癌へのアベルマブ+アキシチニブのOS最終結果は?
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HOKUTO編集部

6ヶ月前

【JAVELIN Renal 101】未治療進行腎細胞癌へのアベルマブ+アキシチニブのOS最終結果は?

【JAVELIN Renal 101】未治療進行腎細胞癌へのアベルマブ+アキシチニブのOS最終結果は?
未治療の進行腎細胞癌に対する抗PD-L1抗体アベルマブ+チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブの併用療法の効果について、 マルチキナーゼ阻害薬スニチニブ単剤を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験JAVELIN Renal 101の追跡期間68ヵ月以上によるOSの最終解析結果から、 同併用療法により統計学的有意差は示されなかったものの、 長期有効性と管理可能な安全性が確認された。 米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏が発表した。

既報の解析結果から本邦ではアベルマブ+アキシチニブが1次治療に

JAVELIN Renal 101試験では、 進行/転移性の淡明細胞型腎細胞癌の1次治療においてアベルマブ+アキシチニブ併用療法の有効性および安全性がスニチニブ単剤治療を対照に比較検証され、 主要評価項目の1つであるPD-L1陽性患者の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させた (HR 0.62、 95%CI 0.490-0.777、 p<0.0001)¹⁾。 この結果を受け、 アベルマブ+アキシチニブは同疾患に対する1次治療として承認された。

今回は、 同試験のもう1つの主要評価であるPD-L1陽性患者の全生存期間 (OS) を含む長期追跡結果が報告された。

主要評価はPD-L1+患者のPFS・OS

対象

未治療で進行または転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者

(ECOG PS 0~1)

方法

886例を以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けた。

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 442例
(アベルマブ10mg/kgを2週毎静注+アキシチニブ5㎎を1日2回経口投与)
  • スニチニブ群 : 444例
(スニチニブ50㎎を1日1回4週間経口投与後、 2週休薬)

評価項目

主要評価項目

  • PD-L1陽性*患者におけるPFSおよびOS
*PD-L1陽性 : PD-L1発現率≧1%

副次評価項目

  • 全患者におけるPFS、 OS
  • 奏効率 (ORR)、 奏効期間 (DOR) 、 安全性、 患者報告アウトカム

mOSは43.2ヵ月、 有意差示せず

患者背景

(アベルマブ+アキシチニブ群、 スニチニブ群)
  • 年齢中央値 : 62.0歳、 61.0歳
  • 男性 : 71.5%、 77.5%
  • 腎摘出歴 : 79.6、 80.0%
  • PD-L1陽性 : 61.1%、 65.3%

IMDC分類

  • 低リスク : 21.3、 21.6%
  • 中リスク : 61.3%、 62.2%
  • 高リスク : 16.3%、 16.0%

追跡期間中央値*

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 73.7ヵ月
  • スニチニブ群 : 73.6ヵ月
*データカットオフ:2023年8月31日

主要評価項目

PD-L1陽性患者のOS

【中央値(95%CI)】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 43.2ヵ月 (36.5-51.7ヵ月)
(270例)
  • スニチニブ群 : 36.2ヵ月 (29.8-44.2ヵ月)
(290例)
HR 0.86 (95%CI 0.701-1.057) 、 p=0.0755

【OS率 (48ヵ月時、 60ヵ月時) 】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 45.5%、 37.1%
  • スニチニブ群 : 42.0%、 33.4%

副次評価項目

全患者におけるOS

【中央値 (95%CI) 】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 44.8ヵ月
(39.7-51.1ヵ月)
  • スニチニブ群 : 38.9ヵ月
(31.4-45.2ヵ月)
HR 0.88 (95%CI 0.749-1.039)、 p=0.0669

【OS率 (48ヵ月時、 60ヵ月時) 】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 46.9%、 38.8%
  • スニチニブ群 : 44.4%、 36.2%

【OSサブグループ解析】

IMDC分類

  • 低リスク : HR 0.781 (95%CI 0.523-1.168)、 p=0.2281
  • 中リスク : HR 0.954 (95%CI 0.778-1.170)、 p=0.6504
  • 高リスク : HR 0.628 (95%CI 0.431-0.916)、 p=0.0147

PD-L1

  • 陽性 : HR 0.863
(95%CI 0.704-1.057)
  • 陰性 : HR 0.889
(95%CI 0.650-1.214)

後治療として抗癌薬投与を受けた割合

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 58.1%
  • スニチニブ群 : 69.4%

【PD-1/PD-L1阻害薬投与を受けた割合】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 18.8%
  • スニチニブ群 : 53.6%

【VEGF/VEGFR阻害薬投与を受けた割合】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 51.1%
  • スニチニブ群 : 46.2%

後治療のPD-1/L1阻害薬を調整した全患者のOS

(アベルマブ+アキシチニブ群 vs スニチニブ群) 
HR 0.76 (95%CI 0.539-1.057)

全患者におけるPFS

【中央値(95%CI)】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 13.9ヵ月
(11.1-16.6ヵ月)
  • スニチニブ群 : 8.5ヵ月
(8.2-9.7ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.566-0.769)、 p≦0.0001

PFS率 (48ヵ月時、 60ヵ月時) 】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 16.9%、 12.0%
  • スニチニブ群 : 6.6%、 4.4%

ORR

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 59.7%
  • スニチニブ群 : 32.0%
オッズ比 3.226 (95%CI 2.406-4.279)、 p<0.0001

DOR

【中央値(95%CI)】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 19.4ヵ月
(16.4-22.3ヵ月)
  • スニチニブ群 : 14.5ヵ月
(8.7-16.6ヵ月)

【DOR率(48ヵ月時、 60ヵ月時)】

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 20.4%、 16.4%
  • スニチニブ群 : 12.2%、 9.2%

有害事象 (AE) の発現率

Grade 3以上のAE

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 66.8%
  • スニチニブ群 : 61.5%

Grade3以上の免疫関連AE

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 14.7%
  • スニチニブ群 : 0.2%

注入に伴う反応(Infusion related reaction)

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 29.3%
  • スニチニブ群 : 0%

アベルマブ+アキシチニブは長期的にも有効

Motzer氏は 「OS最終解析においては、アベルマブ+アキシチニブ群はスニチニブ群に比べ、改善傾向を認めたものの、 両群に統計学的有意差は認められなかった。 一方、 PFSについては、アベルマブ+アキシチニブ群で有意な延長を認め、 かつORRは2倍近い高率な成績を示した。 さらに持続的な奏効を示す患者割合が増加するなど、 アベルマブ+アキシチニブによる長期的な有効性が示された。 安全性は既報と一致していた」 と報告した。

出典

¹⁾N Engl J Med. 2019;380(12):1103-1115.

関連コンテンツ

IMDC分類

転移性腎細胞癌の予後予測分類

注入に伴う反応

Infusion related reaction

JAVELIN Renal 101試験まとめ

臨床試験データベース

Avelumab+Axitinib

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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