【Lancet】インフル曝露後予防における6種の抗ウイルス薬の有効性は?
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【Lancet】インフル曝露後予防における6種の抗ウイルス薬の有効性は?

【Lancet】インフル曝露後予防における6種の抗ウイルス薬の有効性は?
Zhaoらは、 インフルエンザ曝露後の予防における抗ウイルス薬の有効性を系統的レビューとネットワークメタ解析で検討した。 その結果、 ザナミビル、 オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビルによるインフルエンザ曝露後の予防は、 重症化リスクが高い人において症候性インフルエンザのリスク低減に関連することが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。 

📘原著論文

Antivirals for post-exposure prophylaxis of influenza: a systematic review and network meta-analysis. Lancet. 2024 Aug 24;404(10454):764-772. PMID: 39181596

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

使うことはないと思いますが、 アマンタジン (シンメトレル®️) は予防効果が期待できないようです。

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Lancet. 2024 Aug 24;404(10454):753-763.

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背景

抗ウイルス薬のインフルエンザ曝露後の予防効果は不明

インフルエンザの曝露後予防にはノイラミニダーゼ阻害薬が広く使用されているが、 その他のクラスの抗ウイルス薬の有効性については依然として不明である。

本研究では、 WHOのインフルエンザ・ガイドラインの更新をサポートするために、 系統的レビューおよびネットワークメタ解析により、 抗ウイルス薬のインフルエンザ暴露後の予防効果を評価した。

研究デザイン

抗ウイルス薬のインフルエンザ予防効果に関する試験を抽出・評価

2023年9月20日までに発表された、 インフルエンザ予防に対する抗ウイルス薬の有効性と安全性を、 別の抗ウイルス薬やプラセボ、 標準治療と比較・評価した無作為化比較試験を検索した。

データソース : MEDLINE、 Embase、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、 Global Health、 Epistemonikos、 ClinicalTrials.gov

2人1組のレビュアーが独立して試験をレビューし、 データを抽出し、 バイアスのリスクを評価した。

評価対象とした転帰は、 症候性または無症候性感染、 入院、 全死因死亡、 抗ウイルス薬に関連する有害事象、 重篤な有害事象であった。

結果

検索により特定された1万1,845件の論文のうち、 6種類の抗ウイルス薬に関連する33試験、 1万9,096例が、 系統的レビューおよびネットワークメタ解析の対象となった。

対象となった抗ウイルス薬は、 ザナミビル、 オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビル、 アマンタジン、 リマンタジンの6種であった。

ザナミビル、 オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビルは症候性軽減効果大か

ザナミビル、 オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビルは、 重症化リスクの高い患者に対し、 季節性インフルエンザ曝露後速やかに*投与することで、 症候性インフルエンザの発症を大幅に軽減させる効果があることが示唆された (エビデンスの確実性 : 中程度)。

*48時間以内など
リスク比(RR)
ザナミビル   : 0.35 (95%CI 0.25-0.50)
オセルタミビル : 0.40 (95%CI 0.26-0.62)
ラニナミビル  : 0.43 (95%CI 0.30-0.63)
バロキサビル  : 0.43 (95%CI 0.23-0.79)

一方、 重症化リスクが低い人は、 季節性インフルエンザ曝露後にこれらの薬剤を速やかに投与しても、 症候性インフルエンザの発症を大幅に軽減させる可能性が低いことが示唆された (エビデンスの確実性 : 中程度)。

また、 新型インフルエンザA型ウイルス曝露後に速やかに投与した場合、 人獣共通インフルエンザの発症を大幅に減少させる可能性があることが示された (エビデンスの確実性 : 低)。

全インフルエンザのリスクを減少できる可能性ありの薬剤も

オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビル、 アマンタジンは、 すべてのインフルエンザ (症候性および無症候性感染) のリスクを減少させる可能性があることが示された (エビデンスの確実性 : 中程度)。

一方で、 ザナミビル、 オセルタミビル、 ラニナミビル、 バロキサビルは、 無症候性インフルエンザの感染や全死因死亡の予防に、 ほとんどあるいは全く効果がない可能性があることが示された (エビデンスの確実性 : 高または中程度)。

オセルタミビルは入院の予防にはほぼ効果なし

オセルタミビルは入院の予防にほとんど、 または全く効果がない可能性があることが示された (エビデンスの確実性 : 中程度)。

6種いずれも有害事象は増加せず

さらに6種類の抗ウイルス薬は、 エビデンスの確実性に差はあるものの、 薬剤関連の有害事象や重篤な有害事象の発現頻度を有意に増加させないことが示唆された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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