海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Peterらは、 急性単純性虫垂炎を有する小児患者を対象として、 抗菌薬治療の虫垂切除術に対する非劣性を検証するために、 国際多施設共同非盲検非劣性無作為化比較試験を実施した。 その結果、 抗菌薬治療の虫垂切除術に対する非劣性は証明されなかった。 本研究はLancet誌において発表された。
両群にそれぞれ糞石を伴う急性虫垂炎が12%程度含まれています。
Pediatrics Appendicitis score (PAS)
昨今、 単純性虫垂炎に対する非手術的治療を支持する文献が増えているが、 小児における臨床的有用性は不明確である。
そこで本研究では、 2つの治療法の失敗率を比較することにより、 抗菌薬治療が虫垂切除術に代わる治療選択肢になり得るかを非劣性試験にて検証した。
カナダ、 米国、 フィンランド、 スウェーデン、 シンガポールの11の小児病院において単純性虫垂炎が疑われる5~16歳の小児患者936例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 無作為化後1年以内の治療失敗であった。 治療失敗の定義はそれぞれ以下であった。
12ヵ月の追跡期間がある患者を対象とした中間解析が実施され、 非劣性マージンは20%に設定された。
12ヵ月の追跡時点で、 846例 (抗菌薬治療群 : 452例、 虫垂切除術群 : 394例) の主要転帰データが得られた。
両群の累積治療失敗率は以下のとおりであり、 抗菌薬治療の虫垂切除術に対する非劣性は検証されなかった。
群間差 26.7%㌽ (90%CI 22.4-30.9%㌽)
抗菌薬治療群で虫垂切除術を施行した患者のうち、 8% (13例) は病理所見が正常であった。 また、 虫垂切除術群において治療失敗に該当した患者は、 1例を除いてすべて陰性虫垂切除術の患者であった。
いずれの群でも死亡や重篤な有害事象の報告はなかった。
虫垂切除術群と比較した抗菌薬治療群における軽度から中等度の有害事象の相対リスクは4.3 (95%CI 2.1-8.7、 p<0.0001) であった。
著者らは 「小児の単純性虫垂炎において、 抗菌薬治療の虫垂切除術に対する非劣性は検証されなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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