海外ジャーナルクラブ
1年前
Moriらは、 RSウイルス (RSV) 感染症のリスクが高い気管支肺異形成症などの基礎疾患のある小児の限定されている抗RSウイルス薬パリビズマブの予防投与の対象疾患を拡大するために多施設共同第Ⅱ相臨床試験を実施。 その結果、 5つの適応外の希少疾患を有する小児に対するパリビズマブの予防的投与の忍容性は高く、 重症RSV感染症関連の入院重篤な呼吸器症状の発生を予防する上で有効である可能性が示唆された。 本研究は、 Lancet Regional Health Western Pacific誌電子版に掲載された。
先行研究結果でNNT (number needed to treat or prevent)は18.1とのことで今回の症例数23でもなんとかイベント発生する可能性があるのですが、 N数が少ないことはLimitationです。 ただし、 希少疾患を対象にしっかりと研究成果としてまとめ上げた著者日本人グループは大きな賛称に値します。
特定の希少疾患を持つ小児患者は、 重症のRSV感染のリスクが高い。 しかし、 日本では、 気管支肺異形成症、 先天性心疾患、 免疫不全症、 ダウン症候群を除いて、 パリビズマブの予防的使用の適応は認められていない。
肺低形成症、 気道狭窄、 先天性食道閉鎖症、 先天性代謝異常症、 神経筋疾患と診断された生後24カ月未満の小児:23例
RSV流行期に、 30日間隔でパリビズマブ (15mg/kg) を4回以上筋注
パリビズマブの初回投与から4回目の投与の30日後までの期間に、 RSV感染関連の入院が必要となった患者の割合
RSV関連入院は1例も報告されず、 割合は0%であった。
血中のパリビズマブ濃度は、 試験期間中は治療効果が得られるレベルに維持されていた。
報告された有害事象は、 最新の医薬品インタビューフォームに記載されている内容とほぼ同様であった。
重篤な有害事象の発生件数は5件であり、 全員が入院を要したが、 RSVの感染なしに回復した。
5つの適応外の希少疾患を有する小児に対するパリビズマブの予防的投与の忍容性は高く、 重症RSV感染症関連の入院重篤な呼吸器症状の発生を予防する上で有効である可能性が示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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