寄稿ライター
7日前
新NISAをしている先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第28回は、 新NISAを活用した具体的な資産形成戦略を検討します。
第27回は、 S&P500とオールカントリー (全世界株式) を徹底比較しました。 今回は 「投資枠の使い方」 と 「タイミング」 が将来のリターンにどう影響するのかを掘り下げていきます。
新NISAでは年間360万円、 合計1800万円の非課税投資が可能です。 この枠をどう使うかで最終的なリターンは大きく変わります。
ここでは、 以下の2つの投資スタイルを比較します :
1.短期投資群
毎月30万円ずつ5年間で1800万円を拠出し、 その後は運用のみ
2.長期投資群
毎月7.5万円を20年間積み立てて1800万円に到達
両者の投資額は同じですが、 運用期間が異なるため、 複利効果に差が出ます【グラフ1】。
このシミュレーションでは、 米国S&P500に積立投資した場合を想定。 投資開始から20年後、 短期投資群の最終資産は長期投資群を上回っています。 これは 「投資元本を早く投入し、 長く運用する」 方が複利の恩恵を受けやすいことを意味します。
1つの時期だけで比較しても偶然の要素が入りやすいため、 次に、 1992年~2004年の任意の月から投資を始めた場合の20年後リターンを検証しました【グラフ2】。
結果としては、 どのタイミングでも短期投資群が長期投資群を上回る傾向が見られました。 短期で投資枠を使い切る方が、 平均的に多くの資産を築けているという事実は見逃せません。
実際、 期間全体の平均値では短期投資群が約7700万円、 長期投資群が約5600万円という差が出ています。 老後資金や早期リタイアを見据える医師にとっては、 大きなインパクトとなる差です。
さきほどの【グラフ2】をみると、 リーマンショック直後のような大暴落時に投資していれば、 最大で1.8億円もの資産が築けた時期もあります。 こうしたデータを目にすると、 「暴落を待つべきか?」 と悩む方もいるでしょう。
ただし、 新NISAの最大の利点は 「非課税保有期間が無期限」 という点です。 つまり、 早く始めるほど長く市場に居られ、 複利効果を享受できます。
この検証では、 投資のスタートが早いほど最終リターンが高くなる傾向が明確に現れました。 短期・長期どちらの戦略でも、 早期に市場に参加することがリターン向上につながっています。
現在 (執筆時点) では米国株もやや調整局面にあります。 値動きを見て 「今はやめておこう」 と感じるのは自然ですが、 大事なのはタイミングを図るよりも、 できるだけ早く・長く市場に居続けることです。
新NISAという非課税制度の恩恵を最大限に生かすには、 「早く・多く・長く」 が鉄則です。 医師として忙しい日々のなかでも、 投資を習慣化するためのメンタルが資産形成を大きく左右します。
いかがでしたでしょうか。 本日のTake Home Messageは
となります。 次回は、 さらに詳細な投資方法について考えてみましょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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