Diagnosis, prognostic factors, and assessment of ALL in adults: 2024 ELN recommendations from a European expert panel.
Blood. 2024 May 9;143(19):1891-1902. PMID: 38295337
成人の急性リンパ性白血病 (ALL) に関する検査項目や予後に関連する因子についてBlood誌の総説にまとめられていたので紹介する。
診断時の検査項目
以下の表¹⁾にはALLに関する基本的な診断時の検査項目が要約されていてわかりやすい。
BCR::ABL1以外はまだ標的療法の選択にはつながらないが、 予後の推定や同種造血幹細胞移植の適応を考える上で有用である。
AML : 急性骨髄性白血病 (Acute Myeloid Leukemia)、 LBL : リンパ芽球性リンパ腫 (lymphoblastic lymphoma)、 MRD : 微小残存病変 (minimal residual disease)、 MPO : ミエロペルオキシダーゼ (myeloperoxidase)、 c : 細胞質 (cytoplasmic)、 s : 表面 (surface)、 MFC : マルチパラメーターフローサイトメトリー (multiparametric flow cytometry)、 GEP : 遺伝子発現プロファイリング (gene expression profiling)、 CNA : コピー数異常 (copy number abnormality)、 WES : 全エクソームシークエンシング (whole exome sequencing)、 WGS : 全ゲノムシークエンシング (whole genome sequencing)、 NGS : 次世代シークエンシング (next generation)
参考文献1) を基に編集部作図
サブセット別の有病率と予後
臨床的に治療法とも直結するBCR::ABL1融合遺伝子が重要であるが、 海外からの報告ではPh-likeにおいては独自のレジメンが有効である可能性や、 KMT2A関連ではメニン阻害薬などの開発などが注目されている。
B細胞系列ALL
予後に関する記述は、 プロトコールや他の予後に関する特徴の有無に左右され、 また多くの場合、 少数の患者に基づいているため、 慎重に検討すべきである。
参考文献1) を基に編集部作図
T細胞系列ALL
予後に関する記述は、 プロトコールや他の予後に関する特徴の有無に左右され、 また多くの場合、 少数の患者に基づいているため、 慎重に検討すべきである。
参考文献1) を基に編集部作図
予後に関連する因子
患者に関連する因子
本邦においても遺伝学的検査が保険適用となってくる可能性があるが、 そのような時代でも白血球数のような基本的な情報もリスク因子として有用である点は興味深い。
参考文献1) を基に編集部作図
疾患に関連する因子
さまざまな分子学的な解析が可能な現在においても白血球数が予後に影響するというのは興味深い点である。
参考文献1) を基に編集部作図
治療反応動態
MRDのモニタリングは本邦でも利用可能であるが、 もう少し測定回数に自由度があると、 長い臨床経過の中で使いやすいとは感じる。
参考文献1) を基に編集部作図
出典
- Diagnosis, prognostic factors, and assessment of ALL in adults: 2024 ELN recommendations from a European expert panel. Blood. 2024 May 9;143(19):1891-1902. PMID: 38295337
解説医師