【ATLAS試験】ER陽性乳癌への術後タモキシフェン10年間投与
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5ヶ月前

【ATLAS試験】ER陽性乳癌への術後タモキシフェン10年間投与

【ATLAS試験】ER陽性乳癌への術後タモキシフェン10年間投与
エストロゲン受容体陽性の早期乳癌患者において、 術後にタモキシフェン投与を10年まで延長することの効果を、 5年投与で終了した場合を対照に検証したランダム化比較試験ATLASの結果より、 タモキシフェンを10年間投与することで、 10年後の再発と乳癌死亡を予防できることが示された。

原著論文

解析結果

Long-term effects of continuing adjuvant tamoxifen to 10 years versus stopping at 5 years after diagnosis of oestrogen receptor-positive breast cancer: ATLAS, a randomised trial. Lancet. 2013 Mar 9;381(9869):805-16. PMID: 23219286

関連レジメン

タモキシフェン錠10mg

1日20mgを1~2回に経口投与

1日最高量は40mg

タモキシフェン錠20mg

1日20mgを1回に経口投与

1日最高量は40mg

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ATLAS試験の概要

対象

  • タモキシフェンによる5年間の術後治療を終了したエストロゲン受容体陽性の早期乳癌患者
  • 臨床的に病変がない (局所再発はすべて切除され、 遠隔再発も発見されていない)

方法

5年間の術後療法を完了した1万2,894例中のうち、 エストロゲン受容体陽性の6,846例 (53%) 例を以下の2群に1:1で割り付けた。

  • さらに5年延長して10年間投与する群 (3,428例)
タモキシフェン20mg/日を10年間投与
  • 5年で投与を止める群 (3,418例)
タモキシフェン20mg/日を5年間投与
エストロゲン受容体の状態に関わらず、 1万2,894例が副作用の解析に含まれた。

評価項目

  • エストロゲン受容体陽性患者 (6,846例) における乳癌転帰への影響
  • 全女性における副作用

ATLAS試験の結果

追跡調査について

各群とも診断後10年は91%の生存者が、 診断後15年は77%が追跡調査を受けていた。

再発リスク

再発が記録されたのは1,328例 (5-9年目に899例、 10-14年目に379例、 15年目以降に50例)

  • 10年投与群:617例/3,428例
  • 5年投与群:711例/3,418例
RR 0.84 (95%CI 0.76-0.94)、 p=0.002
  • 5-14年目の累積再発率は、 10年投与群21.4%、 5年投与群25.1%であった。
  • 再発リスクの低下は10年目以降で顕著となった (10年目以降のRR 0.75、 5~9年目のRR 0.90) が、 有意ではなかった (p=0.10) 。

乳癌死亡リスク

  • 10年投与群:331例/3,428例
  • 5年投与群:397例/3,418例
p=0.01
  • 5-14年目の累積乳癌死亡率は、 10年投与群12.2%、 5年投与群15.0%であった。
  • 死亡リスクの低下は10年目以降で顕著 (p=0.04) となった (10年目以降のRR 0.71、 5-9年目のRR 0.97) 。

全死亡

  • 10年投与群:639例
  • 5年投与群:722例
p=0.01

乳癌以外の原因による (再発を伴わない) 死亡

  • 全被験者1万2,894例を6,454例、 6,440例に分割して解析
  • 治療の延長による影響は受けなかった(691例 vs 679例) 。
RR 0.99 (95%CI 0.89-1.10)、 p=0.84

特定の疾患の入院または死亡リスク

肺塞栓

RR 1.87 (95%CI 1.13-3.07)、 p=0.01

脳卒中

RR 1.06 (95%CI 0.83-1.36)、 p=0.63

虚血性心疾患

RR 0.76 (95%CI 0.60-0.95)、 p=0.02

子宮内膜癌

RR 1.74 (95%CI 1.30-2.34)、 p=0.0002

5-14年目の子宮内膜癌の累積リスクは、 10年投与群で3.1% (死亡率0.4%) 、 5年投与群で1.6% (死亡率0.2%) であった。

著者らの結論

エストロゲン受容体陽性の早期乳癌患者の術後療法において、 タモキシフェンを10年間投与することは、 5年間投与後に中止するよりも、 特に10年後の再発と乳癌死亡を予防できることが示された。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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