【eClinicalMedicine】クローン病、ウステキヌマブがベドリズマブよりも寛解率に優れる
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【eClinicalMedicine】クローン病、ウステキヌマブがベドリズマブよりも寛解率に優れる

【eClinicalMedicine】クローン病、ウステキヌマブがベドリズマブよりも寛解率に優れる
Yangらは、 クローン病患者を対象に、 IL-12/23阻害薬ウステキヌマブと抗α4β7インテグリン阻害薬ベドリズマブの有効性および安全性を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 ウステキヌマブはベドリズマブよりクローン病治療の有効性で優れており、 安全性には差が見られなかった。 本研究は、 eClinicalMedicine誌において発表された。

📘原著論文

Comparative effectiveness of ustekinumab vs. vedolizumab for anti-TNF-naïve or anti-TNF-exposed Crohn's disease: a multicenter cohort study. EClinicalMedicine. 2023 Dec 2:66:102337. PMID: 38089859

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

後ろ向き観察研究でのPSマッチングを用いた有効性、 安全性の検討でこの部分が大きなlimitationです。 ただし、 著者もTo the best of our knowledge, this is the first real-world cohort study to compare the effectiveness…と書いているようにpositive impactの方が強いと言えます。 論文を書く上では参考になる表現です。

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CDAI (クローン病)

クローン病の重症度分類

Crohn病の重症度分類

クローン病の重症度分類

Crohn病の診断基準

診断基準・治療指針 令和3年度改訂版より

背景

ウステキヌマブとベドリズマブは、 クローン病の治療に有効であるが、 これまでに直接比較試験は実施されていない。

研究デザイン

対象

2020年5月~23年7月に診断が確定し、 ベドリズマブまたはウステキヌマブを1回以上投与された18歳以上のクローン病患者 : 536例

  • ウステキヌマブ群 : 386例
  • ベドリズマブ群 : 150例

主要評価項目

26週時点と52週時点のステロイドなしでの寛解

副次評価項目

26週時点と52週時点の臨床的寛解、 客観的反応および寛解、 追跡期間中の有害事象

研究結果

26週時点における解析

ステロイドなしでの寛解率

  • ウステキヌマブ群 : 55.4%
  • ベドリズマブ群 : 46.1%
OR 1.451 (95%CI 1.140-1.850)

臨床的寛解率

  • ウステキヌマブ群 : 56.4%
  • ベドリズマブ群 : 47.8%
OR 1.413 (95%CI 1.109-1.800)

客観的反応率

  • ウステキヌマブ群 : 67.8%
  • ベドリズマブ群 : 42.7%
OR 2.819 (95%CI 2.111-3.777)

52週時点における解析

ステロイドなしでの寛解率

  • ウステキヌマブ群 : 65.8%
  • ベドリズマブ群 : 37.5%
OR 3.207 (95%CI 2.364-4.369)

客観的反応率

  • ウステキヌマブ群 : 66.7%
  • ベドリズマブ群 : 23.8%
OR 6.418 (95%CI 4.218-9.913)

客観的寛解率

  • ウステキヌマブ群 : 31.4%
  • ベドリズマブ群 : 12.7%
OR 3.146 (95%CI 1.928-5.255)

サブグループ解析

26週時点における解析

ウステキヌマブは、 TNF阻害剤治療歴のある患者において、 ステロイドなしでの寛解率、 臨床的寛解率、 客観的反応率において有意差を示したが、 治療歴のない患者ではステロイドなしでの寛解率、 臨床的寛解率に有意差が見られなかった。

52週時点における解析

ウステキヌマブは、 TNF阻害薬治療歴の有無にかかわらず、 ステロイドなしでの寛解率、 臨床的寛解率、 客観的反応率において有意差を示した。

安全性評価

有害事象の発現率

両群間で同程度であった。

  • ウステキヌマブ : 4.9%
  • ベドリズマブ : 6.7%

結果の解釈

ウステキヌマブはベドリズマブよりクローン病治療の有効性で優れており、 安全性には差が見られなかった。 治療上の優位性は、 TNF阻害薬治療歴のある患者では短期・長期の両期間、 TNF阻害薬治療歴がない患者では長期間において認められた。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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