海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Terposらは、 多発性骨髄腫 (MM) 患者を対象に、 自家造血幹細胞移植 (ASCT) 後のレナリドミド維持療法中止の影響を前向き研究で検討した。 その結果、 微小残存病変 (MRD) 陰性を3年間維持した後に維持療法を中止しても、 MRD陽性転化および病勢進行の発生率は低く維持されることが明らかとなった。 研究結果はBlood誌に発表された。
MRD再陽性で維持療法を再開した患者に対する治療効果の評価にもより長いフォローアップが求められていることと、 ベースラインのPET/CTがないため一部の偽陰性を特定できなかった可能性が、 limitationで取り上げられています。
MRDが奏効基準に含まれるようになったことで、 ASCT後のレナリドミド維持療法の中止は、 MM診療の重要な課題となっている。
そこでこの研究では、 MM患者を対象に、 ASCT後のレナリドミド維持療法中止の影響を前向きに検討した。
骨髄および画像診断によるMRD陰性を3年間維持した後、 レナリドミド維持療法を中止した MM患者52例を対象に、 MRD陽性への転換、 無治療生存期間 (TFS) および無増悪生存期間 (PFS) を評価した。
レナリドミド維持療法中止時点からの追跡期間中央値は3年であった。
全体として、 患者の23% (12例) が MRD陽性となり、 レナリドミド維持療法を再開した。 病勢進行した患者は7.6% (4例) のみで、 3例は生化学的進行、 1例は臨床的進行であった。
全体のPFS中央値は未到達、 診断時からの7年PFSは90.2%であった。
維持療法中止後1年、 2年、 3年のTFS率およびランドマーク解析によるPFS率は以下の通りであった。
TFS率
ランドマーク解析によるPFS率
年齢、 性別、 R2-ISS (予後予測モデル)、 導入療法の種類および強化療法の使用と、 PFS・TFSとの間に統計学的に有意な関連は認められなかった。
著者らは 「MRD陰性を3年間維持した後に維持療法を中止しても、 MRD転化および進行性疾患の発生率が低いことが示された。 最新のMM治療の時代では、 一部の患者は無治療のまま完全寛解を維持できる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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