海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Purbaらは、 10~19歳の青少年を対象に、 ソーシャルメディア利用と健康リスク行動との関連について系統的レビューおよびメタ解析で評価した。 その結果、 ソーシャルメディア利用と若年層の健康リスク行動の関連が示唆された。 本研究はBMJ誌において発表された。
本研究によるソーシャルメディア使用頻度と関連した有害な健康リスク行動の因果関係はまだまだ限定的であると言えます。 real timeの使用時間は検証できるデータなので今後はさらなる詳細な解析が期待されます。
10~19歳の青少年
系統的レビュー、 メタ解析
健康リスク行動の定義は以下の通り。
ソーシャルメディア変数 (利用時間、 利用頻度、 健康リスク行動の内容を含む情報への曝露、 その他のソーシャルメディア活動) と1つ以上の関連アウトカムを報告している研究論文とした。 効果修飾因子はメタ回帰と層別化を用いて検討し、 エビデンスの確実性はGRADEを用いて評価した。
スクリーニングされた1万7,077編の研究のうち、 126編の論文についてレビューし、 73編をメタ解析に含めた。 最終的に143万1,534例 (平均年齢15.0歳) の青少年を解析の対象とした。
メタ解析を含まない統合解析では、 63.6%の研究でソーシャルメディアの利用と不十分な身体活動に有益な関連を認めた。 これを除き、 ほとんどの研究でソーシャルメディアと全健康リスク行動との有害な関連が示された。
アルコール摂取
OR 1.48 (95%CI 1.35-1.62、 n=38万3,068)
薬物使用
OR 1.28 (同1.05-1.56、 n=11万7,646)
喫煙
OR 1.85 (同1.49-2.30、 n=42万4,326)
性的リスク行動
OR 1.77 (同1.48-2.12、 n=4万7,280)
反社会的行動
OR 1.73 (同1.44-2.06、 n=5万4,993)
複数のリスク行動
OR 1.75 (同1.30-2.35、 n=4万3,571)
ギャンブル
OR 2.84 (同2.04-3.97、 n=2万6,537)
電子タバコの使用
OR 1.73 (95%CI 1.34-2.23、 n=72万1,322)
不健康な食事行動
OR 2.48 (同2.08-2.97、 n=9,892)
アルコール摂取
OR 2.43 (同1.25-4.71、 n=1万4,731)
アルコール摂取については、 マーケティング担当者が作成した情報 (OR 2.12、 95%CI 1.06-4.24) に対して、 ユーザーが作成した情報 (同3.21、 2.37-4.33) に接した場合に、 より強い関連が確認された。
ソーシャルメディアの利用時間に関しては、 1日2時間以上の利用は2時間未満に比較してアルコール摂取のORを増加させた (同2.12、 1.53-2.95、 n=1万2,390)。
GRADEによるエビデンスの確実性の解析は、 不健康な食生活は中程度、 アルコール摂取は低度、 その他の調査アウトカムでは非常に低度であった。
ソーシャルメディアの有害な側面を明らかにするためには、 健康リスク行動との因果関係や健康格差への影響を解明した上で、さらなる研究が必要であると思われる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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