【NEJM】早期静脈栄養なしのICU患者、血糖管理を厳格化しても転帰変わらず
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海外ジャーナルクラブ

7ヶ月前

【NEJM】早期静脈栄養なしのICU患者、血糖管理を厳格化しても転帰変わらず

【NEJM】早期静脈栄養なしのICU患者、血糖管理を厳格化しても転帰変わらず
Gunstらは、 早期静脈栄養を受けていない重症ICU患者を対象に、 厳格血糖管理が転帰に及ぼす影響を無作為化比較試験で検討した。 その結果、 厳格な血糖管理は非制限的な血糖管理と比較して、 ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさないことが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Tight Blood-Glucose Control without Early Parenteral Nutrition in the ICU. N Engl J Med. 2023 Sep 28;389(13):1180-1190. PMID: 37754283

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Subgroupを見ますと、 neurologic diagnosisは死亡のオッズが0.69 (0.46-1.02)です。 病態生理から考えても厳密な血糖管理は神経集中治療において期待されるため、 今後この領域でのRCTが必要です。


背景

ICU患者での厳格な血糖管理の利点とリスクに関しては以前から示唆されており、 早期静脈栄養の有無や重症低血糖の発生がその矛盾を説明している可能性がある。

研究デザイン

対象

早期静脈栄養を受けていないICU患者 9,230例

介入

以下の2群に1:1で無作為に割り付けた。

  • 非制限的血糖管理群:4,622例
血糖値が>215mg/dL (>11.9mmol/L)の場合にのみインスリンを開始した。
  • 厳格血糖管理群:4,608例
LOGICインスリンアルゴリズムを使用し、 目標血糖値を80~110mg/dL (4.4~6.1mmol/L) に設定した。

静脈栄養は両群とも1週間実施しなかった。

主要評価項目

ICUでの治療を要した期間

安全性評価項目

90日死亡率

研究結果

朝の血糖値の中央値

  • 非制限的血糖管理群:140mg/dL
(IQR 122~161)
  • 厳格血糖管理群:107mg/dL
(IQR 98~117)

重症低血糖の発生

  • 非制限的血糖管理群:0.7%
(4622例中31例)
  • 厳格血糖管理群:1.0%
(4608例中47例)

主要評価項目

ICUでの治療を要した期間については両群間で差を認めなかった。

HR 1.00、 95%CI 0.96-1.04、 p=0.94

安全性評価項目

90日死亡率においても両群間で差を認めなかった(p=0.51)。

  • 非制限的血糖管理群:10.1%
  • 厳格血糖管理群:10.5%

副次評価項目

事前に規定された8項目の副次評価項目を解析した結果、 新規感染症の発生率、 呼吸補助および血行動態補助の時間、 生存退院までの期間、 ICUおよび院内死亡について、 いずれも両群間で差がなかった。一方、 重症急性腎障害および胆汁うっ滞性肝機能障害は、 厳格血糖管理群の方が少ないことが示唆された。

結論

早期静脈栄養を受けていない重症患者において、 厳格な血糖管理はICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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