海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Sciurbaらは、 好酸球性炎症を伴う慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の増悪に対する抗IL-5抗体メポリズマブの有用性を第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験MATINEEで検討した。 その結果、 3剤併用吸入療法へのメポリズマブ併用により中等度または重度の増悪の年間発生率が有意に低下した。 試験結果はNEJM誌に発表された。
プラセボ群の増悪発生率を年間1.7件としてサンプルサイズの計算を行い、 実際は1件程度のイベント発生率となりましたが、 有意差を示した研究結果となりました。
ヌーカラ皮下注
IL-5は、 COPD患者の20~40%に認められる好酸球性炎症で中心的な役割を果たすサイトカインである。 メポリズマブはこのIL-5を標的とする抗IL-5抗体である。
MATINEE試験では、 好酸球性炎症を伴うCOPD患者に対するメポリズマブの有効性・安全性を第Ⅲ相無作為化比較試験で評価した。
増悪歴があり、 血中好酸球数300/μL以上で3剤併用吸入療法を受けているCOPD患者804例が以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は、 中等度または重度の増悪の年間発生率であった。
副次評価項目は、 生存時間 (time-to-first-event) 解析で評価した中等度または重度の増悪、 健康関連QOLおよび症状の指標、 救急外来受診または入院、 あるいはその両方に至った増悪の年間発生率とし、 多重性を制御するため階層的に検定された。
主要評価項目である中等度または重度の増悪の年間発生率は、 メポリズマブ群がプラセボと比べて有意に低かった (0.80件/年 vs 1.01件/年、 率比 0.79、 95%CI 0.66-0.94、 p=0.01)。
初回の中等度または重度の増悪までの期間は、 メポリズマブ群がプラセボ群と比べて長かった (初回の中等度または重度の増悪までの期間の Kaplan–Meier 法による中央値 419日 vs 321日、 HR 0.77 [95%CI 0.64-0.93]、 p=0.009)。
健康関連QOLや症状に関する指標では有意な群間差は認められず、 統計的検定の階層構造に基づき、 それ以降の副次評価項目については検定が実施されなかった。
有害事象の発現率は、 メポリズマブ群とプラセボ群で同程度であった。
著者らは 「3剤併用吸入療法へのメポリズマブ併用により、 好酸球性炎症を伴うCOPD患者の中等度または重度の増悪の年間発生率が低下した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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