Goodwinらは、 治療抵抗性うつ病の成人患者を対象にシロシビンの有効性と安全性を第Ⅱ相二重盲検試験で検討。 その結果、 シロシビン25mgの単回投与は3週間にわたり有意にうつ病スコアを低下させたが、 副作用を伴うものであった。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
📘原著論文
Single-Dose Psilocybin for a Treatment-Resistant Episode of Major Depression. N Engl J Med. 2022 Nov 3;387(18):1637-1648.PMID: 36322843
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
Introductionを読みますと、 シロシビンは 「マジックマッシュルーム」 の成分のようです。 本研究のように科学的に検討することは実社会において大変有意義です。
背景
シロシビンは、 治療抵抗性うつ病への応用が研究されている段階である。
研究デザイン
- 対象:治療抵抗性うつ病の成人患者
- 患者をシロシビンの用量別に以下の3群に無作為に割り付け。
- シロシビン25mg群:79名
- シロシビン10mg群:75名
- シロシビン1mg群 (対照群) :79名
各群ともに投薬とともに心理的サポートを実施
- 主要評価項目:MADRSのベースラインから3週目までの変化。
- 副次評価項目:3週目の奏効 (MADRS合計スコアがベースラインから50%以上減少)、 3週目の寛解 (MADRS合計スコア≦10)、 12週目の反応持続 (3週目とその後のすべての診察で反応基準を満たす)。
研究結果
有効性評価
- MADRSの平均は各群とも32または33であった。
- ベースラインから3週目までのスコアの最小二乗平均変化
- シロシビン25mg群:-12.0
- シロシビン10mg群:-7.9
- シロシビン1mg群:-5.4
25mg群と1mg群の差は-6.6 (95%CI -10.2--2.9、 P<0.001)
10mg群と1mg群の差は-2.5 (95%CI -6.2-1.2、 P=0.18)
25mg群では、 3週間の奏効と寛解の発生率は高かったが、 12週間の奏効持続率は高くなく、 主要結果を概ね支持するものであった。
安全性評価
- 有害事象は233名中179名 (77%) に発現し、 頭痛、 吐き気、 めまいが含まれた。
- 自殺念慮や自殺行動、 自傷行為などはすべての投与群で発生した。
結論
- シロシビン25mg群は10mg群と異なり、 3週間にわたり対照群 (1mg投与) よりも有意にうつ病スコアを低下させたが、 副作用を伴うものであった。
- 本疾患に対するシロシビンの有効性と安全性を明らかにするためには、 既存の治療法との比較も含めたより大規模で長期の試験が必要である。