海外ジャーナルクラブ
1年前
Zlottaらは、 T2-T4N0M0期の筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌の患者を対象に、 3者併用療法 (最大限の経尿道的膀胱腫瘍切除術+同時化学放射線療法) と根治的膀胱全摘術を傾向スコアマッチング (PSM) と重み付けによる解析で検討。 その結果、 筋層浸潤性膀胱癌の患者において、 根治的膀胱摘出術と3者併用療法が同等の腫瘍学的転帰を示すことを示された。 本研究はLancet Oncol誌において発表された。
本研究テーマのような今までRCTをしようとしたけどうまくいかない、 また今後RCTの予定がないような研究課題に関してPSMを用いて科学的根拠を示すのは大変良いと思います。
筋層浸潤性膀胱癌に対する膀胱温存術と根治的膀胱切除術を比較したこれまでの無作為化比較試験は、 登録数が不十分であったため終了しており、 今後の試験実施も見込まれない。
T2-T4N0M0期の筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌患者:722例
患者の以下の群に割り付け。
無転移生存率
全生存期間 (OS)、 癌特異的生存期間、 無病生存期間 (DFS)
PSMによる解析
IPTW (SHR 0.89、 95%CI 0.67-1.20、 P=0.40)、 PSM (SHR 0.93、 0.71-1.24、 P=0.64) ともに有意差が認められなかった。
IPTW、 PSMともに有意差がなかった。
IPTW
PSM
IPTW、 PSMともに有意差がなかった。
IPTW
PSM
OSは3者併用療法群が有利であった。
IPTW
PSM
根治的膀胱全摘術と3者併用療法の転帰は、 癌特異的生存期間と無転移生存期間において、 施設間で統計的な差はなかった (P=0.22-0.90)。
サルベージ膀胱摘出術は、 3者併用療法群の13% (282例例中38例) に行われた。
摘出リンパ節数の中央値は39個、 軟部組織陽性マージン率は1% (5例)、 周術期死亡率は2~5% (11例) であった。
筋層浸潤性膀胱癌の一部の患者に対して、 根治的膀胱摘出術と3者併用療法の間で同様の腫瘍学的転帰を示す現在までの最高のエビデンスである。 これらの結果は、 集学的な共有意思決定のもとで、 筋層浸潤性膀胱癌のすべての適切な候補者に3者併用療法を提供すべきであり、 手術が選択肢とならない重大な併存疾患を持つ患者だけに提供すべきではないことを支持している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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