【NEJM】高カイロミクロン血症の膵炎予防に、 新規低分子干渉RNA薬が有効
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【NEJM】高カイロミクロン血症の膵炎予防に、 新規低分子干渉RNA薬が有効

【NEJM】高カイロミクロン血症の膵炎予防に、 新規低分子干渉RNA薬が有効

Wattsらは、 持続性高カイロミクロン血症患者を対象に、 低分子干渉RNA薬plozasiranの有効性および安全性を国際第Ⅲ相無作為化比較試験PALISADEで評価した。 その結果、 plozasiranが循環血中トリグリセリド (TG) 値の有意な低下と膵炎のリスク低減に寄与することが示された。 本研究はNEJM誌にて発表された。

📘原著論文

Plozasiran for Managing Persistent Chylomicronemia and Pancreatitis Risk. N Engl J Med. 2025 Jan 9;392(2):127-137. PMID: 39225259.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Plozasiranで急性膵炎の発生率が減ってはいますが、 ゼロにはなっていない点にも着目する必要があります。

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家族性高カイロミクロン血症症候群に新規アンチセンス阻害薬が有効

N Engl J Med. 2024 May 16;390(19):1781-1792.

背景

既存の治療法では膵炎リスク低減せず

持続性高カイロミクロン血症は、 一般に家族性高カイロミクロン血症症候群 (FCS)によって引き起こされる潜性遺伝性疾患であるが、 多因子疾患でもある。

この疾患は、 循環血中TG値が高いことが特徴で、 再発性急性膵炎のリスクと関連している。 現在、 承認されている治療法において、 明確なTG値の低下および膵炎リスク低減は示されていない。

plozasiranは低分子干渉RNA薬であり、 肝臓におけるアポリポ蛋白C-Ⅲ*の合成を抑制し、 TG値を低下させる。 この知見を基に、 本研究では、 持続性高カイロミクロン血症に対するplozasiranの有効性および安全性を評価した。

*主に肝臓で合成される糖タンパク質で、 TG値の主な決定因子

研究デザイン

空腹時TG値のBLからの変化率を評価

持続性高カイロミクロン血症の成人患者75例 (遺伝子診断の有無を問わず) が、 以下の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • Plozasiran25mg群 : 26例
Plozasiran25mgを3ヵ月ごとに12ヵ月間皮下投与
  • Plozasiran50mg群 : 24例
Plozasiran50mgを3ヵ月ごとに12ヵ月間皮下投与
  • プラセボ群 : 25例

主要評価項目は10ヵ月時点での空腹時TG値のベースラインからの変化率 (中央値)、 重要な副次評価項目は空腹時TGのベースライン値から10・12ヵ月値の平均までの変化率、 空腹時アポリポ蛋白C-Ⅲ値のベースラインから10・12ヵ月までの変化率、 急性膵炎の発症率であった。

結果

TG値を有意に改善、 膵炎の発症率も低減

ベースライン時のTG値の中央値は2,044mg/dL、 10ヵ月時点での空腹時TG値のベースラインからの変化率(中央値)は以下の通りであった。 また、 プラセボ群と比べてplozasiran投与群においてTG値は有意に低かった。

  • Plozasiran25mg群 : -80%
(vs プラセボのp<0.001)
  • Plozasiran50mg群 : -78%
(vs プラセボのp<0.001)
  • プラセボ群 : -17%

重要な副次的評価項目の結果は、 急性膵炎の発症率*をはじめ、 プラセボ群と比べてplozasiran投与群において良好であった。

*オッズ比 0.17( 95%CI 0.03-0.94)、 p=0.03

有害事象のリスクは3群で同程度

有害事象のリスクは3群で同程度であり、 特に頻度の高かった有害事象は腹痛、 鼻咽頭炎、 頭痛、 悪心であった。

重度の有害事象、 重篤な有害事象の頻度は、 プラセボ群と比べてplozasiran投与群で低かった。 また、 plozasiran投与群による高血糖は、 ベースライン時に前糖尿病または糖尿病を有していた患者の一部に発現した。

結論

膵炎予防を目的とした高TG血症治療薬としてのplozasiran開発を支持

著者らは 「持続性高カイロミクロン血症患者のうち、 plozasiran投与群では、 プラセボ群よりもTG値が有意に改善し、 膵炎の発症率も低かった。 この知見は、 持続性高カイロミクロン血症患者における急性膵炎の予防を目的とした高TG血症治療薬として、 plozasiranの迅速な開発を支持するものである」 と報告している。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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