【Lancet Respir Med】未治療NSCLCへのイピリムマブ併用 : 試験中止となったJCOG2007の主解析結果が掲載
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【Lancet Respir Med】未治療NSCLCへのイピリムマブ併用 : 試験中止となったJCOG2007の主解析結果が掲載

【Lancet Respir Med】未治療NSCLCへのイピリムマブ併用 : 試験中止となったJCOG2007の主解析結果が掲載
JCOGの肺がん内科グループは、 第Ⅲ相多施設共同非盲検無作為化比較試験(JCOG2007 / NIPPON)において、 未治療の進行非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD-1抗体ペムブロリズマブへの抗CTLA-4抗体イピリムマブの上乗せ効果を検証。 同試験では、 治療関連死亡が予期範囲を超えて多く認められたため、 試験中止となったが、 今回その詳細がLancet Respir Medに掲載された。 

📘原著論文

Comparison of platinum combination chemotherapy plus pembrolizumab versus platinum combination chemotherapy plus nivolumab-ipilimumab for treatment-naive advanced non-small-cell lung cancer in Japan (JCOG2007): an open-label, multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Respir Med. 2024 Aug 16:S2213-2600(24)00185-1. Online ahead of print. PMID: 39159638.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

2026年4月にoverall survivalの結果が出るので、 その結果にも注目です。

💬関連プレスリリース

肺がん内科グループJCOG2007の主解析論文がThe Lancet Respiratory Medicine (IF : 38.7) に掲載されました

日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG)

背景・目的

化学療法+抗PD- (L) 1抗体に、 抗CTLA-4抗体追加の影響を評価

プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、 および抗CTLA-4抗体併用療法は進行NSCLCの生存期間を改善することが既に示されている。 しかし、 プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD- (L) 1抗体併用に抗CTLA-4抗体を追加することによる生存期間への影響を評価した試験はこれまで実施されていなかった。

研究デザイン

未治療の成人進行NSCLC患者を対象に、 OSや有害事象、 患者QOLを評価

20歳以上でECOG PSが0または1の未治療NSCLC患者を対象とした。 なお、 ドライバー癌遺伝子が判明している患者は除外された。

2021年4月~2022年4月までの期間において、 ニボルマブ+イピリムマブ群の9例 (6.9%) に治療関連死が発生した。 死亡数が予期範囲を超えていたことから、 患者登録は2022年4月に一時停止され、 適格基準を見直した登録再開後、 全体で295例が登録された。

患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。

  • ペムブロリズマブ群 : 147例
プラチナ製剤ベースの化学療法 (4サイクル) +ペムブロリズマブを投与
  • ニボルマブ+イピリムマブ群 : 148例
プラチナ製剤ベースの化学療法 (2サイクル) +ニボルマブ+イピリムマブを投与

主要評価項目は全生存期間 (OS)、 副次評価項目は有害事象 (AE)、 患者QOLが設定された。

研究結果

Nivo+IPI群で予期範囲超の治療関連死亡が発生、 試験は中止

2023年3月、 ニボルマブ+イピリムマブ群において10例目の治療関連死亡が認められたことから、 本試験の中止が決定された。 4月には11例目の治療関連死亡が報告され、 ニボルマブ+イピリムマブ群で発生した治療関連死亡は148例中11例 (7.4%) となった。

1次解析は、 117例の死亡例に基づいて行われた。

OSは両群間で有意差を認めず

2023年5月25日のデータカットオフ時点で、 OS中央値は両群間で有意差を示さなかった。

  • ペムブロリズマブ群 : 20.5ヵ月
(95%CI 17.6ヵ月-NE)
  • ニボルマブ+イピリムマブ群 : 23.7ヵ月
(95%CI 17.6ヵ月-NE)

HR 0.98 (90%CI 0.72-1.34)、 p=0.46

Nivo+IPI群の60%にGrade≧3のAEが発現

Grade3以上のAEは、 ペムブロリズマブ群で41%、 ニボルマブ+イピリムマブ群で60%に認められた。

ニボルマブ+イピリムマブ群で発生した治療関連死亡の内訳は、 以下の通りであった。

  • 肺臓炎 : 4例
  • サイトカイン放出症候群 : 3例
  • 敗血症 : 1例
  • 心筋炎 : 2例
  • 血球貪食症候群 : 1例

また、 ペムブロリズマブ群はニボルマブ+イピリムマブ群と比較してQOLが良好な傾向にあった。

結論

IPI併用は安全性・有効性の面で推奨されない可能性、 OS最終解析は結果待ち

著者らは 「進行NSCLCの1次治療として、 化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、 化学療法+ペムブロリズマブ併用療法と比較して、 安全性および有効性の観点からベネフィット-リスクプロファイルが好ましくないことが示された。 確定的な結論のためには、 OSに関する最新の解析結果を待つ必要がある」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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