海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
JCOGの肺がん内科グループは、 第Ⅲ相多施設共同非盲検無作為化比較試験(JCOG2007 / NIPPON)において、 未治療の進行非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD-1抗体ペムブロリズマブへの抗CTLA-4抗体イピリムマブの上乗せ効果を検証。 同試験では、 治療関連死亡が予期範囲を超えて多く認められたため、 試験中止となったが、 今回その詳細がLancet Respir Medに掲載された。
2026年4月にoverall survivalの結果が出るので、 その結果にも注目です。
肺がん内科グループJCOG2007の主解析論文がThe Lancet Respiratory Medicine (IF : 38.7) に掲載されました
プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、 および抗CTLA-4抗体併用療法は進行NSCLCの生存期間を改善することが既に示されている。 しかし、 プラチナ製剤ベースの化学療法+抗PD- (L) 1抗体併用に抗CTLA-4抗体を追加することによる生存期間への影響を評価した試験はこれまで実施されていなかった。
20歳以上でECOG PSが0または1の未治療NSCLC患者を対象とした。 なお、 ドライバー癌遺伝子が判明している患者は除外された。
患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は全生存期間 (OS)、 副次評価項目は有害事象 (AE)、 患者QOLが設定された。
2023年3月、 ニボルマブ+イピリムマブ群において10例目の治療関連死亡が認められたことから、 本試験の中止が決定された。 4月には11例目の治療関連死亡が報告され、 ニボルマブ+イピリムマブ群で発生した治療関連死亡は148例中11例 (7.4%) となった。
1次解析は、 117例の死亡例に基づいて行われた。
2023年5月25日のデータカットオフ時点で、 OS中央値は両群間で有意差を示さなかった。
HR 0.98 (90%CI 0.72-1.34)、 p=0.46
Grade3以上のAEは、 ペムブロリズマブ群で41%、 ニボルマブ+イピリムマブ群で60%に認められた。
ニボルマブ+イピリムマブ群で発生した治療関連死亡の内訳は、 以下の通りであった。
また、 ペムブロリズマブ群はニボルマブ+イピリムマブ群と比較してQOLが良好な傾向にあった。
著者らは 「進行NSCLCの1次治療として、 化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、 化学療法+ペムブロリズマブ併用療法と比較して、 安全性および有効性の観点からベネフィット-リスクプロファイルが好ましくないことが示された。 確定的な結論のためには、 OSに関する最新の解析結果を待つ必要がある」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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