寄稿ライター
12ヶ月前
最近は株高・円安基調が続いている一方、「近い将来暴落する」 ともささやかれています。 連載 「医師による医師のための財テク術」の8回目では、 暴落を予見できるか考えてみましょう。
前回の記事はコチラ
リセッションという言葉をご存知ですか?景気の後退局面を意味し、 「経済活動の大幅な低下が数か月以上続くもの」 と定義されています。 米国では第2次世界大戦以降、 リセッションと判断した時期は12回あります。
上の表は、 最近のリセッションと発表までのタイムラグをまとめたものです。 景気の山と谷を正確に判断するため、 発表がかなり遅れているのが分かります。 株価は半年~1年先を予見して動くと言われますから、 この指標で暴落を予見するのは難しいでしょう。
市場においては 「2四半期連続の実質国内総生産 (GDP) のマイナス」 をリセッションの簡易的な判定方法として使用し、 テクニカル・リセッションと呼ばれます。 実質GDPの速報値は当該四半期の翌月末に発表される (1~3月期であれば4月末) ため、 リセッションの公式発表よりかなり早いです。
では、 その正確性を検証します。 上のグラフを見ると、 ドットコムバブルではテクニカル・リセッションに入っていません。 リーマンショックでは一度プラスに戻っているので、 テクニカル・リセッション入りには時間を要しています。
即応性のある指標として、 市場では逆イールドが注目されます。 逆イールドとは、 「米国2年債利回り>米国10年債利回り」 となった状態のことです。
通常、 遠い未来の方が不確実であるため、 償還期間が短い債券より長い債券の利回りが高くなります。 これが逆転したのが逆イールドです。
一般的に、 過度な金融不安や過激な政策変動により短期金利が急騰したことで生じるため、 その発生後はリセッションや株価が調整に転じるシグナルとされています。
上の表では、 確かにリセッションの前に逆イールドが発生しているのが分かります。 ただ、 逆イールド発生からリセッション入りには1.5年ほどタイムラグがあり、 その間に株価が上昇していることが分かります。 逆イールドが発生したからと株を売ったり、 買うのを躊躇したりしていると、 この上昇分を取れない機会損失が生まれてしまうのです。
インデックス投資のバイブルとされる 「敗者のゲーム」 によると、 過去75年間のS&P500を分析したところ、 株式リターンの大部分は、 上昇率のベスト60ヵ月(分母900ヵ月のうちたった7%)で達成されたとのこと。 リターンの大部分を生み出す期間を 「稲妻の輝く瞬間」 と表現しており、 それがいつなのか分かれば爆益確実なのですが、 残念ながら誰にも分かりません。
この 「稲妻の輝く瞬間」 を逃すと、 リターンが大いに減少してしまうことも分かっています。 つまり、 暴落を恐れて市場から降りることなく、 市場に居続けることが大切なのです。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回は、 投資に回す資産配分について考えます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。