海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Jungらは、 高齢者でのヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療の有益性を検討するため、 除菌者を対象に集団ベースの研究を実施した。 その結果、 70歳以上でも除菌治療による胃癌発症率および死亡率の低下が認められた。 試験結果はGastroenterology誌に発表された。
保険データベース解析のため、 H. pylori感染者や除菌失敗者を特定できないことはlimitationとなります。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染は胃癌の主要リスク因子であるが、 高齢者でのピロリ菌除菌治療の有益性は依然として不明である。 そこで、 除菌者と一般集団での胃癌発症率および死亡率を年齢層別に比較した。
2009~11年に除菌治療を受けた91万6,438例を対象に集団ベースの研究を実施し、 2021年まで追跡調査を行った。 除菌者と一般集団について、 胃癌の標準化発症比 (SIR) および標準化死亡比 (SMR) を算出し効果を比較した。
胃癌発症率および死亡率は、 20歳代を除くすべての年齢層において一般集団よりも除菌群で低かった。 そして特に、 70~74歳、 75~79歳、 80歳以上の年齢層で顕著に低かった。
著者らは 「除菌治療は、 高齢者でも胃癌発症率および死亡率を低下させることが示されたことから、 若年齢で行うことが望ましいが年齢を理由に躊躇すべきではない。 胃癌予防のためには、 年齢を問わず除菌治療を積極的に検討すべきであることを支持する重要なエビデンスとなった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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