HOKUTO編集部
4ヶ月前
HER2陽性進行・再発乳癌の1次治療における抗HER2抗体トラスツズマブ+抗HER2抗体ペルツズマブ+微小管阻害薬エリブリン併用療法について、 標準治療であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン系抗癌薬併用療法に対する非劣性を検証する第III相多施設共同非盲検並行群間無作為化比較試験EMERALDの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) における非劣性が示された。 神奈川県立がんセンター乳腺外科部長の山下年成氏が発表した。
トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン系抗癌薬は、 再発または転移性のHER2陽性乳癌に対する標準治療である。
しかし、 タキサン系抗癌薬の毒性によって生じる有害事象は患者のQOLを低下させることから、 毒性は低く、 少なくとも同薬と同等の効果を有する代替療法の開発が必要とされている。
エリブリンは転移性乳癌患者の全生存期間 (OS) を改善することが示されており、 進行性乳癌に対する治療の鍵となる薬剤である。
トラスツズマブ エムタンシンを除いた化学療法歴がなく、 局所進行または転移を有する20-70歳のHER2陽性乳癌患者
446例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目
PFS
副次的評価項目
客観的奏効率 (ORR)、 OS、 患者報告によるQOLおよび神経障害、 安全性など
両群で概ね同様だった。
PFS中央値
HR 0.95(同0.76-1.19)、 Log-rank検定 p=0.6817
サブグループ解析の結果
少人数のサブグループを除き、 明らかに両群のいずれかが優位を示したサブグループはなかった。
ORR
臨床的有用率
OS中央値
HR 1.09(95%CI 0.76-1.58)
Log-rank p=0.7258
Grade3以上の全有害事象の発現率
エリブリン群 : 58.9%
タキサン群 : 59.2%
Grade3以上の各有害事象の発現率
山下氏は 「本研究はHER2陽性の局所進行または再発乳癌の1次治療において、 2種のHER2阻害薬との併用において、 タキサン系抗癌薬に対するエリブリンの非劣性を示した初めての試験である。 エリブリン+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法は、 同疾患に対する現在の標準治療であるタキサン系抗癌薬+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法に比べて毒性は低いが同等の効果を示すことから、 同疾患の1次治療における選択肢となり得る」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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