HOKUTO編集部
6ヶ月前
未治療の進行ALK変異陽性NSCLCに対する第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの有効性および安全性について、 クリゾチニブを対照に検証した第Ⅲ相オープンラベル無作為化比較試験CROWNの長期成績より、 ロルラチニブ群の5年時PFS中央値は未到達で、 60%の患者が無増悪と高効果を維持していることが示された。 オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J. Solomon氏が発表した。
ロルラチニブは血液脳関門を通過する第3世代ALK阻害薬であり、 第2世代ALK阻害薬よりもALK融合遺伝子耐性変異を広範囲にカバーする。
既報の第Ⅲ相CROWN試験¹⁾の中間解析(データカットオフ日:2020年3月20日)では、 ロルラチニブ群の追跡期間中央値18.3ヵ月の時点で、 PFS中央値はロルラチニブ群では未到達 (95%CI NR-NR)、 クリゾチニブ群では9.3ヵ月 (同7.6-11.1ヵ月) であった (HR 0.28[0.19-0.41])。
今回は、 同試験の追跡期間中央値60.2ヵ月における長期有効性と安全性が報告された。
転移性疾患に対する治療歴がないStageⅢB/ⅣのALK陽性NSCLC患者
296例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。クロスオーバーは認められなかった。
主要評価項目
盲検化独立中央評価委員会(BICR)評価によるPFS
副次的評価項目
担当医の評価によるPFS、 奏効率(ORR)、 奏効期間(DOR)、 頭蓋内ORR、 頭蓋内DOR、 頭蓋内増悪までの時間(TTP)、 安全性、 バイオマーカー分析など
追跡期間中央値
イベント数
PFS中央値(95%CI)
HR 0.19 (95%CI 0.13-0.27)
5年時PFS率
サブグループ解析
脳転移の有無、 人種、 性別、 年齢、 喫煙歴の全てのサブグループにおいて、 ロルラチニブ群のクリゾチニブ群に対する優位性が一貫して認められた。
脳転移あり患者のPFS中央値
HR 0.08 (95%CI 0.04-0.19)
脳転移なし患者のPFS中央値
HR 0.24(95%CI 0.16-0.36)
担当医評価による頭蓋内病変進行までの期間は、 クリゾチニブ群に比べてロルラチニブ群で長かった。
イベント数
中央値(95%CI)
HR 0.06(95%CI 0.03-0.12)
5年時に頭蓋内病変進行なしの患者の割合
サブグループ解析
【脳転移あり患者の頭蓋内TTP】
HR 0.03 (95%CI 0.01-013)
【脳転移なし患者の頭蓋内TTP】
HR 0.05(95%CI 0.02-0.13)
ALK バリアント1、 バリアント3a/b、 TP53遺伝子変異陽性/陰性のいずれの患者においても、 PFSの改善がみられた。
ロルラチニブ治療の終了時に採取されたctDNA検体を調べた結果、 新たなALK変異は認められなかった。
全Gradeの有害事象 (AE) の発現率
Grade3/4のAE発現率
重篤なAE発現率
その他のロルラチニブ群におけるAE発現率
Solomon氏は 「ⅢB/Ⅳ期のALK変異陽性進行NSCLC患者において、 ロルラチニブの効果を検討したCROWN試験の5年間の追跡調査でも、 ロルラチニブ群のPFSは中央値に到達せず、 クリゾチニブ群に比べて顕著なPFS延長と頭蓋内有効性を示した。 安全性も以前の報告と一致していた。 本試験の5年追跡調査でのロルラチニブ群のPFSは、 ALK変異陽性進行NSCLC患者における分子標的薬の単剤治療において、 これまで報告された最長のPFSに相当する」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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