【CROWN】未治療進行ALK陽性NSCLCへのロルラチニブ、 5年時PFSも未到達で最長成績に
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HOKUTO編集部

6ヶ月前

【CROWN】未治療進行ALK陽性NSCLCへのロルラチニブ、 5年時PFSも未到達で最長成績に

【CROWN】未治療進行ALK陽性NSCLCへのロルラチニブ、 5年時PFSも未到達で最長成績に
未治療の進行ALK変異陽性NSCLCに対する第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの有効性および安全性について、 クリゾチニブを対照に検証した第Ⅲ相オープンラベル無作為化比較試験CROWNの長期成績より、 ロルラチニブ群の5年時PFS中央値は未到達で、 60%の患者が無増悪と高効果を維持していることが示された。 オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J. Solomon氏が発表した。 

3年時PFSも未到達でHRは0.28

ロルラチニブは血液脳関門を通過する第3世代ALK阻害薬であり、 第2世代ALK阻害薬よりもALK融合遺伝子耐性変異を広範囲にカバーする。

既報の第Ⅲ相CROWN試験¹⁾の中間解析(データカットオフ日:2020年3月20日)では、 ロルラチニブ群の追跡期間中央値18.3ヵ月の時点で、 PFS中央値はロルラチニブ群では未到達 (95%CI NR-NR)、 クリゾチニブ群では9.3ヵ月 (同7.6-11.1ヵ月) であった (HR 0.28[0.19-0.41])。

今回は、 同試験の追跡期間中央値60.2ヵ月における長期有効性と安全性が報告された。


主要評価はBICR判定のPFS

対象

転移性疾患に対する治療歴がないStageⅢB/ⅣのALK陽性NSCLC患者

無症候性の中枢神経系転移を有する患者は適格とされた

方法

296例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。クロスオーバーは認められなかった。

  • ロルラチニブ群 : 149例
(ロルラチニブ100mgを1日1回投与)
  • クリゾチニブ群 : 147例
(クリゾチニブ250mgを1日2回投与)

評価項目

主要評価項目

盲検化独立中央評価委員会(BICR)評価によるPFS

副次的評価項目

担当医の評価によるPFS、 奏効率(ORR)、 奏効期間(DOR)、 頭蓋内ORR、 頭蓋内DOR、 頭蓋内増悪までの時間(TTP)、 安全性、 バイオマーカー分析など


5年時PFSのHRは0.19と著効を維持

担当医の評価によるPFS

追跡期間中央値

  • ロルラチニブ群 : 60.2ヵ月
  • クリゾチニブ群 : 55.1ヵ月

イベント数

  • ロルラチニブ群 : 55件
  • クリゾチニブ群 : 115件

PFS中央値(95%CI)

  • ロルラチニブ群 : NR(64.3ヵ月-NR)
  • クリゾチニブ群 : 9.1ヵ月(7.4-10.9ヵ月)
HR 0.19 (95%CI 0.13-0.27) 

5年時PFS率

  • ロルラチニブ群 : 60% (51-68%)
  • クリゾチニブ群 : 8% (3-14%)

サブグループ解析

脳転移の有無、 人種、 性別、 年齢、 喫煙歴の全てのサブグループにおいて、 ロルラチニブ群のクリゾチニブ群に対する優位性が一貫して認められた。

ロルラチニブ群における脳転移あり患者の5年PFS率は53%、 脳転移なしの5年PFS率は63%だった。

脳転移あり患者のPFS中央値

  • ロルラチニブ群 : NR (32.9ヵ月-NR)
  • クリゾチニブ群 : 6.0ヵ月 (3.7-7.6ヵ月)
HR 0.08 (95%CI 0.04-0.19) 

脳転移なし患者のPFS中央値

  • ロルラチニブ群 : NR (64.3ヵ月-NR)
  • クリゾチニブ群 : 10.8ヵ月 (9.0-12.8ヵ月)
HR 0.24(95%CI 0.16-0.36)

頭蓋内TTP

担当医評価による頭蓋内病変進行までの期間は、 クリゾチニブ群に比べてロルラチニブ群で長かった。

イベント数

  • ロルラチニブ群 : 9件
  • クリゾチニブ群 : 65件

中央値(95%CI)

  • ロルラチニブ群 : NR(NR-NR)
  • クリゾチニブ群 : 16.4ヵ月(12.7-21.9ヵ月)
HR 0.06(95%CI 0.03-0.12)

5年時に頭蓋内病変進行なしの患者の割合

  • ロルラチニブ群 : 92%
  • クリゾチニブ群 : 21%

サブグループ解析

【脳転移あり患者の頭蓋内TTP】

  • ロルラチニブ群 : NR(NR-NR)
  • クリゾチニブ群 : 7.2ヵ月 (3.7-11.0ヵ月)
HR 0.03 (95%CI 0.01-013) 

【脳転移なし患者の頭蓋内TTP】

  • ロルラチニブ群 : NR(NR-NR)
  • クリゾチニブ群 : 23.9ヵ月 (16.4-30.8ヵ月)
HR 0.05(95%CI 0.02-0.13)

バイオマーカー分析

ALK バリアント1、 バリアント3a/b、 TP53遺伝子変異陽性/陰性のいずれの患者においても、 PFSの改善がみられた。

ロルラチニブ治療の終了時に採取されたctDNA検体を調べた結果、 新たなALK変異は認められなかった。

安全性評価

全Gradeの有害事象 (AE) の発現率

  • ロルラチニブ群 : 100%
  • クリゾチニブ群 : 99%

Grade3/4のAE発現率

  • ロルラチニブ群 : 77%
  • クリゾチニブ群 : 57%

重篤なAE発現率

  • ロルラチニブ群 : 44%
  • クリゾチニブ群 : 32%

その他のロルラチニブ群におけるAE発現率

  • 減量に至ったAE : 23%
  • 治療の一時的な中断に至ったAE : 62%
  • 治療中止に至ったAE : 11%
  • 治療中止に至った治療関連AE : 5%
最初の26週間で発生した。
  • 中枢神経系のAE : 42%
86%はGrade1/2であった。
  • ロルラチニブを最初の16週間で減量した患者では、 PFSや頭蓋内TTPへの影響は見られなかった。

分子標的薬単剤治療の報告としては最長のPFSに

Solomon氏は 「ⅢB/Ⅳ期のALK変異陽性進行NSCLC患者において、 ロルラチニブの効果を検討したCROWN試験の5年間の追跡調査でも、 ロルラチニブ群のPFSは中央値に到達せず、 クリゾチニブ群に比べて顕著なPFS延長と頭蓋内有効性を示した。 安全性も以前の報告と一致していた。 本試験の5年追跡調査でのロルラチニブ群のPFSは、 ALK変異陽性進行NSCLC患者における分子標的薬の単剤治療において、 これまで報告された最長のPFSに相当する」 と報告した。

出典

1) N Engl J Med. 2020; 383: 2018-2029.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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