寄稿ライター
1日前
医局ウォッチャーこと、 コアライ ミナトです。 連載22回目のテーマは、 「医局崩壊」 です。
医局崩壊といっても、 医局という 「制度」 そのものが今後大きく崩れる可能性は低いでしょう。 医局に入る若手が減り続けているというデータは出ていないですし、 地域医療を支えるために国が医師派遣を支援するという話もあるようです。
ただ、 個別にみていくと、 「いよいよマズいのでは」 という医局が存在するのも事実です。 今回は、 とある医局の崩壊話をご紹介します。
そこは近隣では名門と呼ばれるような、 規模の大きな医局でした。 ただ長年の強権的な采配が祟ってか、 退局者が増え続けていました。
新人が入りはする一方、 それ以上に中堅以降の医師たちが抜けてしまい、 体制を維持することが難しい状況でした。
「大きな組織は倒れるときも派手だよ。 どうなることやら」 と囁かれていました。
そんなとき、 即戦力医師が立て続けに入局してきたのです。
医局の幹部らが、 独自のコネクションで連れてきた医師たちでした。 教授の古くからの知り合いA先生や、 過去に医局を離れたB先生…といった具合です。
急いで連れてきた医師の中には、 揉め事を起こす人も一定数いますが、 数年間の急場をしのぐことにはつながります。
「エライ人」 って、 こういうことができる人達なのだなと感じますね。
「あの人がいなくなったらお終い」。 そう言われる人材が、 医局に何人かはいるものです。
・ものすごい数をさばいている人
・とある分野・疾患の、 第一人者
・超人格者
など。 こういった人材も、 末期には去ってしまいます。
ただ、 去ったとしても、 思ったより大きな変化は起こらないものです。 ノウハウの蓄積により残った人の努力で補填できたり、 近隣の医療圏が吸収したり、 多少質が落ちても時間とともにそれが基準になったり…
大きな目で見たら、 替えのきかない人材なんていないのかもしれません。
とはいえ、 確実に戦力が落ちているわけなので、 医局員の撤退は起こります。
各々の関連病院から少しずつ派遣医師を減らしたり、 ベテランを削って若手を入れたり。 影響を極力抑えつつ、 やりくりが行われます。
関連病院に対して 「これくらいの規模の派遣をします。 だから医局の傘下に入ってね」 という約束をしている場合もありますが、 緊急時には有耶無耶になってしまうことも多いようです。
そんなわけで、 経験上、 「医局の崩壊」 は案外地味なものです。
轟音を立てて崩れるわけではなく、
そんなことをしながら音もなく縮んでいき、 適当なところで落ち着くのです。 社会ってなんだかんだで、 回っていくものなのかもしれませんね。
さて、 今回は以上です。
>>著者が運営するブログはコチラ : 「勤務医のマーチ」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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