HOKUTO編集部
2年前
切除可能な非小細胞肺がん (NSCLC) の周術期療法において、 術前療法としての抗PD-L1抗体デュルバルマブ+化学療法併用療法および術後療法としてのデュルバルマブ単剤療法の有効性および安全性を検証した国際第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験AEGEANの中間解析の結果から、 主要評価項目の1つである無イベント生存期間 (EFS) を含む予後改善効果が示された。 2023年4月14〜19日に開催された米国癌研究協会 (AACR 2023) において、 米・M.D. Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏が発表した。
対象は、 未治療な切除可能〔ⅡA〜ⅢB期 (N2) 〕NSCLCで、 ①全身状態 (PS) が0/1、 ②PD-L1の発現状況を確認できた症例、 ③EGFR/ALK遺伝子変異がいずれも陰性ーなどの適格基準を満たした患者。
登録された802例が1:1で以下の2群にランダムに割り付けられた。
主要評価項目は以下の2つ。
副次評価項目は以下の3つ。
今回は事前に計画されたEFSの最初の中間解析の結果が報告された。
データカットオフ日を2022年11月10日とするEFSの追跡期間中央値は11.7カ月だった。
両群の患者背景は同様で、 術前の化学療法は70%以上の症例がカルボプラチンベースのレジメンを受療していた。
病期 (Ⅱ/ⅢA/ⅢB) は以下のとおりだった。
PD-L1 (TC) の発現 (1%未満/1〜49%/50%以上) は以下のとおりだった。
modified ITT集団におけるEFS中央値 (maturity 31.9%) は以下のとおりだった (図) 。
デュルバルマブ群におけるEFSのベネフィットは、 術前療法の化学療法のレジメン別 (シスプラチン vs. カルボプラチン) にみても一貫して認められた。
図. EFS
pCR
MPR
治療関連のグレード3/4の有害事象、 および間質性肺炎 (全グレード)の発現
周術期療法におけるデュルバルマブの追加により、 術前化学療法 (4サイクル) および手術の完遂に影響は認められなかった。
AEGEAN試験は、 周術期免疫療法+術前化学療法の有効性を示した初の第Ⅲ相試験である。
周術期免疫療法+術前化学療法は切除可能NSCLCに対する新たな治療選択肢となりうる。
CheckMate 816レジメン〔化学療法(Chemo)+免疫チェックポイント阻害薬(IO)→手術、 以下CM816〕¹⁾が既に使用可能な中、 今回発表されたAEGEAN試験のレジメン (Chemo+IO→手術→IO) ですが、 ざっくりとしたまとめは、
ということでした。
AEGEANでは化学療法4コースに対してCM816は3コース。 さらに、 術後にIOを継続できたAEGEANに対してCM816はなし。 それにも関わらず、 有効性が同等なのであれば、 より簡便かつ患者負担が少ないCM816で十分なのでしょうか。
今回、 AEGEANでは病期やPD-L1発現別のDFS曲線は公表されませんでした。 こうしたサブセット解析や、 より長期の有効性結果が待たれます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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