海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Yangらは、 炎症性腸疾患 (IBD) の患者を対象に、 結腸切除術と将来の急性腎障害および腎不全のリスクとの関連を全国規模のコホート研究で検討した。 その結果、 結腸全摘術および長期ストーマ造設を伴う結腸切除術の施行により、 急性腎障害および腎不全の発症リスクが増加した。 本研究は、Clin Gastroenterol Hepatol誌において発表された。
Nationwideの大きな研究なのですが、 逆に1965年から2017年までの長期間にわたっているのはlimitationと言えます。 今後の腎機能障害予防という意味で、 大きな意義のある研究成果です。
炎症性腸疾患はしばしば腎合併症を伴うが、 腎障害の引き金となる因子や腎障害のリスクが高い患者群については十分に解明されていない。
本研究は、 結腸切除術が腎障害のリスクに与える影響を明らかにすることを目的とした。
1965~2017年にIBDと診断された患者 : 8万2,051例
Cox比例ハザードモデルを用いて、 結腸切除術*¹と急性腎障害発生および腎不全*²の将来リスクとの関連を検討した。
また、 結腸の部分切除と全切除、 ストーマの有無、 その期間の影響についても検討した。
中央値14年の追跡期間中に、 1万6,479例が結腸切除術を受け、 急性腎障害2,556件、 腎不全1,146件が発生した。
結腸切除術は急性腎障害、 腎不全の相対リスク増加と関連した。
急性腎障害
調整後HR : 2.37
腎不全
調整後HR : 1.54
結腸全摘術は部分切除術と比較して、 急性腎障害および腎不全のリスクが増加した。
長期的なストーマ造設を伴う結腸切除術は、 一時的なストーマ造設を伴う結腸切除術と比較して、 急性腎障害と腎不全のリスクが増加した。
潰瘍性大腸炎患者ではリスクが高いことが示唆された。
著者らは 「IBD患者において、 結腸切除術を受けた患者、 特に結腸全摘術または長期的なストーマを造設を伴う結腸切除術を受けた患者では、 急性腎障害および腎不全の発生率が高い。 この研究により、 腎機能モニタリングや腎臓専門医への紹介のための確立されたプロトコルが有益なハイリスク集団が明らかになった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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