HOKUTO編集部
14日前
初回の経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TURBT) で高異型度 (High grade) pT1と診断された高リスク膀胱癌のうち2回目 (2nd) のTURでpT0が認められた膀胱癌を対象に、 BCG膀胱内注入療法と無治療経過観察を比較検証した第Ⅲ相無作為化比較試験JCOG1019の結果より、 RFSにおける非劣性が示された。 富山大学腎泌尿器科教授の北村寛氏が発表した。
初回TURBTに続く、 2nd TURとBCG膀胱内注入療法 (膀注療法) はHigh Grade pT1膀胱癌の標準治療となっている。 しかし、 初回TURBTでHigh grade pT1膀胱癌、 2nd TURで病理学的に腫瘍を認めない (pT0) と診断された膀胱癌に対するBCG膀注療法の必要性は依然として不明である。
本試験は初回TURBTでHigh grade pT1膀胱癌と診断され、 2nd TURでpT0と診断されたBCG膀注療法未実施の膀胱癌263例を対象とした。
患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はTis、 Taの膀胱内再発を除く無再発生存期間 (RFS) だった。
副次的評価項目は全生存期間 (OS)、 無転移膀胱温存生存期間 (MFS)、 年次膀胱内RFS、 有害事象(AE)だった。
患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。 年齢中央値はBCG膀注療法群が70.0歳、 経過観察群が69.5歳、 孤発例はそれぞれ45.9%、 52.3%だった。
治療完遂率はBCG膀注療法群が82.0%、 経過観察群が100%だった。 BCG膀注療法群では16.5%が有害事象 (AE) により治療を中止していた。
Tis、 Ta膀胱内再発例を除くRFSのHRは0.69 (90%CI 0.44-1.08)、 片側p=0.00102だった。
90%CIの上限が事前規定された1.60以下であったことから、 経過観察群のBCG膀注療法群に対する非劣性が認められた。
5年RFS率は BCG膀注療法群が81.8%(95%CI 74.1-87.4%)、 経過観察群が86.5%(同 79.2-91.4%)だった。
RFSサブグループ解析の結果では、 年齢≧65歳(HR 0.47)、 男性 (HR 0.78)、 乳頭状腫瘍 (HR 0.72)、 孤発性癌 (HR 0.47)、 腫瘍径≧3cm (HR 0.70) のサブグループにおいて、 非劣性の傾向が見られた。
OSのHRは0.64 (95%CI 0.33-1.23)、 5年OS率は BCG膀注療法群が91.7% (同 85.4-95.3%)、 経過観察群が92.0% (同 85.7-95.6%) だった。
無転移膀胱温存生存期間 (MFS) のHRは0.66 (95%CI 0.37-1.17)、 5年MFS率はBCG膀注療法群が86.4% (同 79.2-91.2%)、 経過観察群が89.7% (同 82.9-93.9%) だった。
また膀胱内RFSのHRは1.33 (95%CI 0.90-1.97) だった。
BCG治療関連のAE発現率は既報と一貫しており、 経過観察群はBCG膀注療法群に比べて治療後31日以降に発生したGrade3以上のAE発現率が低かった。
北村氏は 「初回TURBTでHigh grade T1、 2nd TURでpT0と診断された膀胱癌において、 無治療経過観察はBCG膀注療法と比較し、 TisまたはTa再発を除いたRFSにおいて非劣性であった。 本試験の結果は、 2nd TURで残存腫瘍のないHigh grade pT1の膀胱癌に対する新たな標準治療の可能性として無治療経過観察を支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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