【JAMA Surg】腹腔鏡下胃バイパス術の腸間膜欠損閉鎖で小腸閉塞の再手術率が低下
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【JAMA Surg】腹腔鏡下胃バイパス術の腸間膜欠損閉鎖で小腸閉塞の再手術率が低下

【JAMA Surg】腹腔鏡下胃バイパス術の腸間膜欠損閉鎖で小腸閉塞の再手術率が低下
Stenbergらは、 腹腔鏡下胃バイパス術 (LRYGB) が予定されている重度の肥満患者を対象に、 腸間膜欠損の閉鎖の長期的な安全性と有効性をランダム化比較試験で検討。 その結果、 腸間膜欠損閉鎖群は非閉鎖群に比べ、 小腸閉塞 (SBO) の再手術率が有意に低下した。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。

📘原著論文

Long-term Safety and Efficacy of Closure of Mesenteric Defects in Laparoscopic Gastric Bypass Surgery: A Randomized Clinical Trial. JAMA Surg. 2023 May 10;e231042. PMID: 37163240

👨‍⚕️監修医師のコメント

本研究の最大の特徴がregistry-based RCTです。 これはあらかじめレジストリーに登録されていた患者をスクリーニングして組入基準に合致する患者を選択してRCTを行います。 そうすることによって実施が困難な領域でも短期間で、 しかもコストをかけずに行うことができます。


背景

腸間膜欠損の閉鎖はLRYGB手術時のSBOを伴う内ヘルニアのリスクを低減するが、 術後早期の空腸吻合のキンクのリスクを高める可能性がある。 しかし,我々の知る限り、SBOのリスクやオピオイドの使用という観点から、この介入による長期結果を報告した臨床試験は存在しない。

研究デザイン

対象

LRYGB手術を受けた重度の肥満患者

介入

患者は以下の群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。

  • 腸間膜欠損を閉鎖する群:1,259例
  • 腸間膜欠損を閉鎖しない群:1,248例

主要評価項目

SBOに対する再手術

研究結果

SBOに対する再手術

  • 閉鎖群:98例 (10年累積発生率 7.8%、 95%CI 6.4-9.4%)
  • 非閉鎖群:185例 (10年累積発生率14.9%、 95%CI 13.0-16.9%)
SHR 0.42、 95%CI 0.32-0.55

慢性オピオイドの新規使用

  • 閉鎖群のオピオイド未使用患者:895例中166例 (10年累積発生率 18.7%、 95%CI 16.2-21.3%)
  • 非閉鎖群のオピオイド未使用患者:863例中175例 (10年累積発生率 20.4%、 95%CI 17.7-23.0%)
SHR 0.90、 95%CI 0.73-1.11

結論

LRYGBにおける腸間膜欠損閉鎖後のSBOの長期的なリスク低下が認められた。 この知見は、LRYGB時のこの手技のルーチン使用を検討すべきことを示唆している。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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