海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前

国立がん研究センター東病院の渋谷悠真氏らの研究グループは、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) による甲状腺機能異常 (甲状腺irAE) が心筋トロポニン値に及ぼす影響を後ろ向き研究で検討した。 その結果、 甲状腺irAEは心筋トロポニンT値の上昇と関連し、 特に甲状腺刺激ホルモン (TSH) >20μIU/mLの場合に顕著であった。 研究結果はJ Immunother誌に発表された。
ICI、 甲状腺機能異常、 心筋トロポニン値という本邦が得意とする3つを組み合わせたアイデア勝負の素晴らしい後ろ向き研究です。
甲状腺免疫関連有害事象 (irAE) は最も頻度の高い内分泌系irAEである。 甲状腺ホルモンは心血管系にさまざまな影響を及ぼすが、 甲状腺irAEが心血管系疾患の発症に及ぼす影響は十分に解明されていない。
そこで、 2017年1月-2022年7月に国立がん研究センター東病院で後ろ向き研究を実施。 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 治療を受け、 甲状腺機能および心筋障害のバイオマーカーである心筋トロポニンT値を測定した患者94例を対象に、 甲状腺irAEが心筋トロポニンT値に及ぼす影響を検討した。
追跡期間中央値は249日 (四分位範囲 124-502日) であった。
対象患者94例のうち、 36例 (38%) がICI治療後に心筋トロポニンT値の上昇を示し、 そのうち16例 (44%) で甲状腺irAE (甲状腺機能低下症13例、 甲状腺機能亢進症3例) との関連が認められた。
甲状腺irAEの既往の有無に関係なく、 明らかな心血管病の発症や、 心臓病による死亡は確認されなかった。
心筋トロポニンT値は甲状腺刺激ホルモン (TSH) 値の上昇とともに増加した。 特にICI治療後にTSH>20μIU/mLの患者では、 心筋トロポニンT値が有意に上昇した (p=0.009)。
著者らは 「甲状腺irAEは心筋トロポニンT値の上昇を伴う心筋障害を引き起こす可能性があり、 特にTSH>20μIU/mLの甲状腺機能低下症では注意が必要である。 そのため、 ICI治療後は甲状腺機能とともに心筋マーカーのモニタリングを行うことが重要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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