寄稿ライター
2ヶ月前
医局ウォッチャーこと、 コアライ ミナトです。 連載19回目のテーマは 「最近の大学病院医師の給料」 です。
「大学病院は給料が安い!」
ほとんどの医師が共通して持っている認識だと思います。 ただ実際どのくらい安いのか、 他大学はどうなのか、 具体的に言える人は少ないのではないでしょうか。
今回は大学病院の勤務医1627名を対象としたアンケートから分かった現状についてみていきます。
【表1】は全国医学部長病院長会議が全国82の大学病院 (本院) を対象に実施したアンケート結果です。
う~む、 安い…。 20代は、 初期研修医も含まれているのでなんともいえませんが、 30代になっても半数が500万円未満というのは壮絶です。
ちなみに、 全勤務医の平均年収は【表2】です。
次に、 全勤務医の平均年収と大学病院の給料を比較し、 「アルバイトでどのくらい稼げば、 平均値を目指せるか」 を推測してみました。 ざっくりですが、 こんな感じになります。
一般的な大学医師のバイトは週1日程度との統計があります【表3】。 要するに、 上記の金額を1日で稼ぐ必要があるわけです。
僕の相場観では、 「なかなか厳しい」 という印象です。 バイト代の相場は以下のイメージです。
・5万円/日 : 安いがありえる
・8万円/日(時給1万円) : 普通
・10万円/日 : 良い
・12万円/日 : 幹部レベル
・15万円~/日 : 教授レベル
よほど交渉力のある医局か、 より多くの時間バイトに出られる医局でないと、 同年代の平均年収に及ばないというのが実態のようです。
大学病院医師は基本的に、 ダブルワーク、 トリプルワークをすることになります。 この場合、 メイン以外の勤務先での働き方が、 社会保険の加入条件の対象外 (労働時間が週20時間未満など) となっていれば、 社会保険の加入は1カ所のみで済み、 メイン以外の勤務先で得た収入は社会保険料の計算には含まれません。
つまり1つの勤務先から年収の大半を受け取る人よりも、 複数から細かく分けてもらう方が、 手取り面で有利になることが多いです。
一般勤務医との差を埋められるかはケースバイケースですが、 多少は精神的な慰めにはなるかもしれません。
大学病院医師の給料事情について、 解説しました。
ただ安いとはいっても、 他の医師と比べて 「他職種か!?」 というほどの差はないのかなとも感じました。 仕事や通勤の大変さを考慮すると、 割に合っているとは言いにくいですが。
さて、 今回は以上です。
>>著者が運営するブログはコチラ : 「勤務医のマーチ」
¹⁾ 全国医学部長病院長会議 : 大学病院の医師の働き方改革に関するアンケート調査結果 (2024/9/11)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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