海外ジャーナルクラブ
8日前

Thurstonらは、 非ST上昇型心筋梗塞が疑われる成人患者を対象に、 新たな第6世代高感度心筋トロポニンT (hs-cTnT) アッセイを用いた心筋梗塞の早期除外プロトコルの性能を前向き多施設コホート研究で評価した。 その結果、 第6世代hs-cTnTアッセイは従来の第5世代アッセイと比べ、 救急部門受診時の心筋トロポニンT単回測定で心筋梗塞または心臓死の低リスクと判定される患者を2倍多く同定できる可能性が示唆された。 本研究はJAMA Cardiol誌において発表された。
本研究の主な限界はサンプルサイズが小さく、 特に性別や発症早期患者など重要なサブグループでの評価が十分でなく、 性別特異的カットオフの必要性が示唆された点です。
極めて低濃度域での測定精度を高めた新たな第6世代hs-cTnTアッセイで、単回検査による心筋梗塞の除外診断が改善することが期待されている。
そこで本研究では、 第6世代hs-cTnTアッセイにおいて心筋梗塞リスクが低い患者を同定するための閾値を設定し、 これを早期除外プロトコルに適用した場合の性能を前向き多施設コホート研究で評価した。
非ST上昇型心筋梗塞が疑われる成人患者を対象として、 導出コホート (987例) は2022~25年にスコットランドの病院救急部門で、 検証コホート (1,721例) は2014~19年にチェコ、 イタリア、 ポーランド、 スペイン、 スイスの病院救急部門で構築された。
第5世代および第6世代hs-cTnTアッセイを用いて、 受診時および連続検体の心筋トロポニン濃度を測定した。
30日時点で判定済みの主要アウトカムであるタイプ1、 4b、 4cの心筋梗塞または心臓死に対して、 陰性予測値 (NPV) が99.5%以上かつ感度が99%以上を満たす受診時の最高閾値、 および第6世代hs-cTnTアッセイを用いた早期除外プロトコルの性能などであった。
導出コホートにおける登録患者の年齢中央値は59歳 (四分位範囲 50-70歳)、 男性は62%であった。 30日時点で主要アウトカムであるタイプ1、 4b、 4cの心筋梗塞または心臓死を認めた患者は82例 (8.3%) であった。
受診時に第6世代hs-cTnTアッセイで測定した心筋トロポニンT濃度が13ng/L未満であった患者は601例 (61%) であった。 この閾値において、 30日時点で判定された主要アウトカムに対するNPVは99.9% (95%信用区間 [CrI] 99.7-100%)、 感度は99.4% (95%CrI 97.7-100%) であった。
第6世代hs-cTnTアッセイでは、 第5世代アッセイと比べて早期除外プロトコルにより受診時に低リスクと判定された患者割合が有意に高かった (376例 [41.0%] vs 160例 [17.4%]、 p<0.001)。
外部検証コホートでは、 受診時に第6世代hs-cTnTアッセイの閾値13ng/L未満に該当した患者は782例 (45.4%) であり、 NPVは99.0% (95%CrI 98.3-99.6%)、 感度は97.5% (95%CrI 95.8-99.0%) であった。 一方で、 第5世代hs-cTnTアッセイの従来の低リスク層別化閾値を下回った患者は118例 (6.9%) にとどまり、 第6世代アッセイの13ng/L未満に該当した患者割合より有意に低かった (p<0.001)。
著者らは 「本研究により、 第5世代アッセイと比べて、 臨床性能に基づくリスク層別化閾値を用いた第6世代hs-cTnTアッセイにより、 受診時に心筋梗塞または心臓死のリスクが低い患者の同定率が2倍になる可能性が示唆された。 実臨床への導入により連続検査の削減や在院時間の短縮につながるかについては、 今後の前向き研究で検証する必要がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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