海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Shahらは、 皮膚筋炎の患者を対象に、 メトトレキサート (MTX) の使用が間質性肺疾患リスクに与える影響について、 コホート研究で検討した。 その結果、 MTX使用と間質性肺疾患リスクには関連性が認められないことが明らかにされた。 本研究はJAMA Dermatolにおいて発表された。
観察研究結果の正確な解釈が求められます。 皮膚筋炎に対するMTXの投与は間質性肺疾患のリスク増加と関連しない、 と記載しているだけですので、 それ以上でもそれ以下でもありません。
間質性肺疾患は皮膚筋炎の一般的な合併症であり、 北米では患者の約23%が罹患している。
皮膚筋炎の第一選択薬はMTXであるが、 同じリウマチ性疾患である関節リウマチ患者へのMTX投与で、 0.3~11.6%に肺炎および肺線維症の副作用を伴うことが報告されている。 このことから、 皮膚筋炎へのMTX投与による間質性肺疾患リスクの上昇が懸念され、 臨床現場での使用が躊躇われているのが現状である。
2010年1月1日以降に皮膚筋炎と診断され、 免疫調節療法*を受けた患者 : 315例
なお、 皮膚筋炎の初診前に間質性肺疾患と診断された患者は除外された。
患者はMTXの使用有無で層別化され、 人口統計学的背景、 臨床的特徴、 他の免疫抑制薬の使用状況が最長10年間の追跡調査により評価された。 間質性肺疾患の診断後に初めてMTXを投与された患者はMTX未曝露とされた。
生存分析では、 Kaplan-Meier法および多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、 MTX投与関連の間質性肺疾患リスクを評価した。
315例のうち163例が組み入れ基準を満たし、 うち58例 (36%) がMTXを使用していた。
Kaplan-Meier法による解析では、 MTX投与による間質性肺疾患リスクにおいて、 両群間で有意差は認められなかった。
HR 0.79 (95%CI 0.35-1.78)、 p=0.56
性別、 悪性新生物、 リツキシマブ使用有無で調整された多変量Cox比例ハザード回帰モデル解析でも、 MTX投与による間質性肺疾患リスクにおいて、 両群間で有意差は認められなかった。
HR 0.79 (95%CI 0.33-1.86)、 p=0.59
この結果は、 関節リウマチ患者を対象にしたMTX投与の研究結果とは対照的であった。 研究の限界として、 電子カルテに基づく診断の信頼性、 処方バイアス、 サンプルサイズの制約が挙げられる。 皮膚筋炎におけるMTX使用の安全性を確認するためには、 さらなる前向き研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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