寄稿ライター
8ヶ月前
こんにちは、 Dr.Genjohです。 近い将来訪れるとされる 「医師余り」 時代は、 医師の待遇が悪化することが予想されます。 新シリーズ 「先生の診療科、 食べていけますか?」 では、 医師人生を全うするために今、 何をするべきかを考えていきます。
上記グラフは、 厚生省が2020年時点で推計した医師の需要供給バランスです。 医師の働き方によって3パターンに分かれていますが、 需要ケース2を基準として考えます。 2024年4月から始まる医師の働き方改革におけるA水準 (時間外労働時間が年960時間) に該当するためです。 その場合、 2029年から医師の需給関係は均衡し、 以後 「医師余り」 の時代が到来します。
ご存知の通り、 日本の人口は2010年以降、 減少の一途をたどっています。 一方、 医学部への進学人数は増加しています。 厚労省の資料によると、 2020年時点では約123人に1人が医学部に進学していましたが、 2050年時点では約85人に1人が進学すると推定されており、 今後、 医師の供給過多はさらに進むと考えてよいでしょう。
政府もただ指をくわえて医師の供給過多を容認していたわけではありません。 約40年前の1982年、 「医師については全体として過剰を招かないように配慮」 するよう閣議決定がなされました。
閣議決定以降、 上記グラフの青色部分 (地位枠等以外の医学部定員) はやや削減され、 ほぼ一定数を保っています。 一方、 オレンジ色 (地域枠等の医学部定員) は増加傾向にあります。
地域枠が設定され始めた2003~2007度年ごろは医学部の入学定員数は7600人余りでしたが、 2020年度は9330人まで増加しています。
医師少数県で医師を確保するための地域枠の設定が、 医師余りを加速させる一要素となっていることは明白であるといえるでしょう。
ただ、 地域枠制度やそれに伴う医師増加の傾向に介入することは一個人には不可能です。 上記を踏まえた上で、 個人レベルで何ができるのかを考えることが重要です。
次回は、 実際にどの都道府県で医師の偏在が起こっているのか、 それに対してどうすべきかを考えます。
Xアカウント : @DrGenjoh
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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