海外ジャーナルクラブ
9日前
Paz-Ares氏らは、 1次治療完遂後に病勢進行 (PD) を認めない進展型小細胞肺癌 (SCLC) 患者を対象に、 維持療法に用いる転写阻害薬lurbinectedin+アテゾリズマブ併用の有効性および安全性について、 アテゾリズマブ単剤を対照に第III相多施設共同非盲検無作為化比較試験IMforteで検討した。 その結果、 lurbinectedin+アテゾリズマブ併用で無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) が有意に延長した。 試験結果はLancet誌に発表された。
Lancet特有のInterpretationでは、 「albeit with a higher incidence of adverse events」 という表現を用いて、 有害事象の発現頻度が高いことを認めつつも有効性の意義を強調しています。
進展型SCLCに対する1次治療において、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) +プラチナベースの化学療法併用により有効性は改善されたものの、 生存率は依然として不良である。
そこでIMforte試験では、 アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用による導入療法後にPDを認めない進展型SCLC患者を対象に、 維持療法としてlurbinectedin+アテゾリズマブ併用およびアテゾリズマブ単剤の有効性・安全性を第Ⅲ相試験IMforteで比較検討した。
13カ国96施設で、 進展型SCLC患者の1次治療 (アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシドを21日間を1サイクルとして4サイクル) 後にPDが認められず、 維持療法へ移行した進展型SCLC患者483例が順列ブロックを用いて以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は独立判定委員会 (IRF) 評価によるPFS、 OSであり、 Intention-to-treat (ITT) 集団で評価された。
2024年7月29日をデータカットオフとするPFSは、 アテゾリズマブ単剤群と比べてlurbinectedin併用群で有意に延長した (層別HR 0.54 [95%CI 0.43-0.67]、 p<0.0001)。
またOSも、 アテゾリズマブ単剤群と比べてlurbinectedin併用群で有意な延長を示した (HR 0.73、 95%CI 0.57-0.95、 p=0.017)。
Grade 3-4の有害事象 (AE) はlurbinectedin併用群で38%、 アテゾリズマブ単剤群で22%に発現し、 lurbinectedin併用群では貧血 (8%)、 好中球数減少 (7%)、 血小板数減少 (7%)、 アテゾリズマブ単剤群では低ナトリウム血症、 呼吸困難、 肺炎 (各2%) が多く認められた。
Grade 5のAEはlurbinectedin併用群で5%、 アテゾリズマブ単剤群で3%に発現した。 骨髄抑制毒性 (例えば好中球減少症や白血球減少症) の発現率は、 アテゾリズマブ単剤群よりlurbinectedin併用群の方が高かった。
著者らは 「進展型SCLCに対する1次治療後の維持療法としてのlurbinectedin+アテゾリズマブ併用は、 アテゾリズマブ単剤と比べてAEの発現率が高かったものの、 PFSおよびOSを有意に延長した。 1次治療後の維持療法において、 lurbinectedin+アテゾリズマブ併用が新たな治療選択肢になる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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