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HOKUTO編集部

41日前

そのCOPD患者、「ACO」 の可能性はありませんか?喘息・COPDオーバーラップとは

本稿では、 ACOの診断基準や診断手順について解説します. 今までCOPDあるいは気管支喘息 (以下、喘息) として長年加療されていたものの病勢コントロール不良の場合には、 改めて問診を行い、 隠れたACOを見つけようとする姿勢が重要です.

背景

ACO提唱の歴史

  • 喘息とCOPDは共通の臨床症状を持ち、臨床現場での明確な区別はときに困難である.
  • 2015年、 それぞれの特徴を持つ 「ACOS」 という概念がGINA/GOLDにより提唱された.
ACOS:Asthma and COPD Overlap Syndrome (喘息・COPDオーバーラップ症候群)
  • 2017年、"症候群"という言葉はふさわしくないとして現在の「ACO」 へと改称となった.

本邦におけるACO

  • 本邦の疫学データでは、 ACO有病率は喘息診断歴のある患者の27.1%, COPD診断歴のある患者の4.2~49.7%程度とされる. 
  • 2018年、 日本呼吸器学会より 『喘息とCOPDのオーバーラップ (Asthma and COPD Overlap:ACO) 診断と治療の手引き 2018¹⁾』 が発行された.

ACOの定義

慢性の気流閉塞を示し、喘息とCOPDのそれぞれの特徴を併せもつ疾患(以下①②を参照).

① 喘息の定義

気道の慢性炎症を本態とし、 臨床症状として変動性を持った気道狭窄 (喘鳴、 呼吸困難) や咳で特徴づけられる疾患.

② COPDの定義

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生じた肺疾患であり、 呼吸機能検査で気流閉塞を示す疾患.

ACOの診断基準¹⁾

次の (1)~(3)の項目をすべて満たす必要がある.

(1) 基本的事項

下記2項目のすべてを満たす.
  • 40歳以上
  • 慢性気流閉塞 (気管支拡張薬吸入後の1秒率[FEV1/FVC×100]<70%)

(2) COPDの特徴

下記3項目のいずれかを満たす.
  • 喫煙歴あるいは同程度の大気汚染曝露 (10 pack-years以上=Brinkmann指数200以上)
10 pack-years以上とは、1日1箱の喫煙なら10年以上、1日2箱の喫煙なら5年以上のことを指す.
  • 胸部CTにおける気腫性変化を示す低吸収領域 (LAA : Low Attenuation Area) の存在
CTで撮影した肺を左右で上肺野・中肺野・下肺野の計6つに分割し、それぞれの気腫の程度を各4点満点、計24点満点で合計して評価するGoddard法が主流. 8~15点が中等症、16~24点が重症.
  • 肺拡散能障害 (%DLCO<80% または %DLCO/VA<80%)

(3) 喘息の特徴

「1~3のいずれか2項目以上」 または
「1~3のいずれか1項目 かつ 4.その他の特徴の2項目以上」を満たす.
  1. 変動性 (日内・日々・季節) あるいは発作性の呼吸器症状 (咳・痰・呼吸困難)
  2. 40歳以前の喘息の既往
  3. 呼気中一酸化窒素濃度 (FeNO) >35ppb
  4. その他の特徴
  • 通年性アレルギー性鼻炎の合併
  • 気道可逆性 (気管支拡張薬吸入により1秒率[FEV1/FVC×100]>12% かつ 1秒量[FEV1]>200mLの改善
気管支拡張薬吸入前後でのFEV1を比較して、改善率および改善量から気道可逆性を判定する.
  • 末梢血好酸球>5%あるいは>300/μL
  • IgE高値 (総IgEあるいは通年性吸入抗原に対する特異的IgEが高値)

ACOの診断手順¹⁾

1. ACOを疑う患者は以下の通り

  • 40歳以上で呼吸器症状を有する患者 (咳、 痰、 息切れなど)
  • 40歳以上で呼吸機能検査にて1秒率[FEV1/FVC×100]が70%未満を指摘された患者

2. 画像検査などで他鑑別疾患を除外

<鑑別を要する疾患>

  • びまん性汎細気管支炎
  • 先天性副鼻腔気管支症候群
  • 閉塞性細気管支炎
  • 気管支拡張症
  • 肺結核
  • 塵肺症
  • リンパ脈管筋腫症
  • うっ血性心不全
  • 間質性肺疾患
  • 肺癌

3. 気管支拡張薬投与後に1秒率測定

  • 気管支拡張薬を投与してから呼吸機能検査を行い、それでも1秒率[FEV1/FVC×100]が70%未満であることを確認する.

4. ACOの診断基準を確認

  • 「ACOの診断基準」 の2と3の項目を確認.
  • COPDの特徴と喘息の特徴を両方とも満たしていればACOと診断する.

ACOの治療方針¹⁾

喘息患者

基本はICSまたはICS/LABAで治療

LAMAを追加

COPD患者

基本はLAMAまたはLAMA/LABAで治療

ICSを追加

つまり、いずれの場合もICS/LABA/LAMAの三剤併用療法 (現在では合剤の吸入薬が主流) が基本となることが多い.

参考文献

1) 社団法人日本呼吸器学会 : 喘息とCOPDのオーバーラップ (Asthma and COPD Overlap : ACO) 診断と治療の手引き 2018. メディカルレビュー社, 東京, 2017 ※書籍販売のみ

執筆監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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