海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Tangらは、 術前療法後に腹腔鏡下根治的胃切除術を受けた局所進行胃癌患者を対象に、 インドシアニングリーン (ICG) ガイド下リンパ節郭清が腫瘍学的転帰に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 ICGトレーシングによる郭清リンパ節数の増加および腫瘍学的転帰の改善が示された。 研究結果はJAMA Surg誌に発表された。
感度分析で行われている操作分析法は、 観察研究における未測定の交絡因子の影響を軽減し、 治療効果を偏りなく推定できるように設計されている方法です。
ICGガイド下リンパ節郭清は胃癌治療で導入が進んでいるものの、腫瘍学的転帰への影響は明らかになっていない。
この研究では、ICGガイド下リンパ節郭清の腫瘍学的転帰への影響を後ろ向きコホート研究により検討した。
2015年1月~2021年6月に中国の3施設でcT2-4N0/+M0胃腺癌と診断され、 術前療法および腹腔鏡下根治的胃切除術を受けた患者459例を対象として、 2024年6月までの追跡データが調査された。
ICGガイド下リンパ節郭清を受けたICG群と標準的なリンパ節郭清を受けた非ICG群の転帰をOverlap Weighting (OW) を用いて比較し、 傾向スコアマッチングおよび操作変数法により結果の頑健性を検証した。
主要評価項目は、 3年全生存 (OS) 率および3年無再発生存 (RFS) 率であった。
対象459例のうち119例がICGガイド下リンパ節郭清を受けた。
OW調整後、 ICG群は非ICG群と比較して、 郭清リンパ節数が多く (47.4 vs 38.3、 p<0.001)、 3年OS率 (78.6% vs 66.6%、 p=0.04) および3年RFS率 (74.0% vs 57.0%、 p=0.03) が良好であった。
多変量Cox回帰解析の結果、 ICGトレーシングはOS (HR 0.59 [95%CI 0.39-0.90]、 p=0.02) およびRFS (HR 0.59 [95%CI 0.40-0.87]、 p=0.01) の双方に対する独立した予後因子であり、 その結果は二重頑健モデルおよび操作変数モデルのいずれでも有意であった。
OW調整後の以下のサブグループで、 ICGトレーシングの方がOSの便益が顕著にみられた (いずれも交互作用のp=0.04)。
傾向スコアマッチングで調整してもほぼ同じ結果が得られた。
著者らは 「ICGトレーシングにより、 術前療法後の局所進行胃癌患者でのリンパ節郭清が強化され、腫瘍学的転帰が改善した。 この結果を検証するためにRCTが必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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